農業の多面的機能(読み)のうぎょうのためんてききのう(その他表記)multi‐function of agriculture

共同通信ニュース用語解説 「農業の多面的機能」の解説

農業の多面的機能

農業には、農産物を生み出す生産活動以外に、さまざまな役割があること。具体的には、洪水土砂崩れ防止地下水維持、美しい景観や環境生物多様性保全、地域の文化継承などを指す。食糧安全保障など幅広く含めることもある。多面的機能はお金で売買することができず、これを維持するための費用は、農産物の販売では回収できない。このため、税金を使って多面的機能を維持するという考え方が、欧州連合(EU)では受け入れられている。

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知恵蔵 「農業の多面的機能」の解説

農業の多面的機能

農産物以外に、生産活動によって社会に役立つ有形無形価値が生み出されること。(1)水資源涵養(かんよう)や土石流防止などの環境保全機能、(2)生物の多様性保持に貢献する生態系保全機能、(3)景観保全や安らぎの提供などのアメニティー維持機能、(4)自然・環境教育の場や農村文化を提供する社会的文化的機能、(5)雇用機会の提供、地域社会の維持などの地域経済維持機能、に分類できる。生産活動と結びついていること(結合生産)、利益を無料で享受できること(公共財)、農産物の価格に価値を反映できないこと(外部経済性)といった特徴がある。

(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2007年)

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