過誤納金(読み)かごのうきん

改訂新版 世界大百科事典 「過誤納金」の意味・わかりやすい解説

過誤納金 (かごのうきん)

過納金誤納金総称。過納金とは,いったん有効な(しかし違法な)納税申告・更正処分・賦課決定等によって確定された税額納付または徴収されたのち,減額更正処分・取消判決等がなされることによって減少した税額に相当する金額である。誤納金とは,例えば無効な更正処分・賦課決定等に基づき納付・徴収された場合,税額が確定される前に法令に基づかず納付・徴収がなされた場合,納税申告・更正処分等によって確定した税額を超えて納付・徴収がなされた場合,あるいは時効により消滅した納税義務につき誤って納付・徴収がなされた場合に,返還されるべき金額をいう。つまり,前者は,租税手続法的に見て納付または徴収の時には法律上の原因があったが,後に法律上の原因を欠くに至った税額のことであり,後者は,実体的にも手続的にも,納付または徴収の時点からすでに法律上の原因を欠いていた税額であるという点で異なる。両者は国・地方公共団体の不当利得であり,遅滞なく還付しなければならない(国税通則法56条,地方税法17条)。過納金の場合には係争の納税申告・更正処分等が減額更正・判決等により減額・取消しされた後,はじめて,納税者は不当利得返還請求権(還付請求権)を主張しうるが,誤納金の場合にはかかる手続を要しない。
還付金
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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