遣り付ける（読み）ヤリツケル

デジタル大辞泉

やり‐つ・ける【^▽遣り付ける】

［動カ下一］［文］やりつ・く［カ下二］
１ いつもするのに慣れている。しなれている。「病人の世話は―・けている」
２ うちまかす。やっつける。
「若し間違ったら是れで―・けるのだ」〈鉄腸・花間鶯〉
３ 「飲む」「食う」また「する」を強めていう語。やっつける。
「いっそ酔ってぐっと一寝入りに―・けやした」〈洒・深川新話〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

やり‐つ・ける【遣付】

1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]やりつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
2. ① ある動作をいつもしなれている。しつける。また、ある物を与えることが慣例になっている。
   1. [初出の実例]「毎年遣り付た事じゃに依って、今とふて遣らう」(出典：虎寛本狂言・米市（室町末‐近世初）)
3. ② 「飲む」「食う」また「する」を強めていう語。やっつける。
   1. [初出の実例]「是も与兵衛からかねをせしめるつもりで何(なに)もかも大概やり付た所で」(出典：歌舞伎・七月二八曙（1773）中)
4. ③ やりこめる。うちまかす。やっつける。
   1. [初出の実例]「随分と血を見ぬ様に立廻るが発明と、弁に任してやり付れば」(出典：浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記（1781）八)
5. ④ とにかくやってしまう。思い切ってやる。
   1. [初出の実例]「此男がまた真剣白刃取りを奉書の紙一枚で遣付(ヤリツ)けようといふ男だったから」(出典：骨董（1926）〈幸田露伴〉)

出典　精選版 日本国語大辞典