デジタル大辞泉
「随分」の意味・読み・例文・類語
ずい‐ぶん【随分】
[形動][文][ナリ]
1 ふさわしい程度を超えているさま。また、いちじるしいさま。並でないさま。過分。相当。「随分な御見舞をいただきました」「貯金も随分な額になった」
2 人に対する態度や言動が度を過ぎているさま。非常識。「そんなことを言うなんて随分な奴だ」
[副]
1 いちじるしいさま。多く、予想外だとか不本意だとかいう気持ちをこめて用いる。非常に。だいぶ。かなり。「年の割には随分(と)老けて見える」「随分(と)大げさなことをいう人だ」
2 その人の能力・身分・立場などにふさわしいさま。また、事態がある状況にふさわしくなっていくさま。分相応に。それなりに。「しっかり勉強すれば、成績も随分(と)よくなるものだ」
「将来立派な者にさえなれば、―照子の婿にもしてやる」〈谷崎・悪魔〉
3 その人の置かれている状況の中で最善を尽くすさま。できるだけ。なるべく。「随分(と)養生してください」「随分(と)努力してみましょう」
4 (別れの挨拶などで用いる、古い言い方)せいぜい。
「もう御別れになるかもしれません。―御機嫌よう」〈漱石・坊っちゃん〉
[名]その人の能力・身分・立場などにふさわしいこと。
「我は此の宗に帰すれども、人はまた彼の宗に志す。共に―の益あるべし」〈神皇正統記・嵯峨〉
[類語](1)比較的・割と・割に・割りかし・割方・割合・結構・大幅・かなり・相当・なかなか・大分・大層・頗る・いやに・やけに・えらい・馬鹿に・余程・余っ程
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ずい‐ぶん【随分】
[1] 〘名〙 分限に応じていること。身分相応なこと。
※
田氏家集(892頃)中・身無繋累「生事任
レ情甘
二素食
一、官銜随
レ分忝
二閑曹
一」
※
源氏(1001‐14頃)
玉鬘「三条らも、すいふんに栄えて、かへり申しはつかうまつらむ」
※宇治拾遺(1221頃)一一「出家随分の
功徳とは、今に始めたることにはあらねども」
[2] 〘副〙 (「と」「に」を伴って用いることもある)
① (不十分ではあるが)そのものの立場でできるかぎりのことをするさま。ぎりぎりの線まで。極力。せいぜい。精一杯。
※
平家(13C前)三「二位中将の所望候しを、入道随分執り申しか共、遂に御承引なくして」
② 程度や優れていることなどが相当であるさま、ひとかたでないさまをいう。はなはだ。大いに。非常に。かなり。
※
平治(1220頃か)下「忠宗・景宗も、随分血気の勇者にて、抜群の者なりしか共」
※
日葡辞書(1603‐04)「Zuibunni
(ズイブンニ) トトノエマラセウズ〈訳〉私が十分に用意しましょう、または、十分よく取り計らいましょう」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「『おめへン所のか
かさんは縫ちゃア呉めへ。』『ずいぶん縫ふのさ。サア、出しなせへ』」
※都の友へ、S生より(1907)〈
国木田独歩〉「兎も角、随分
(ズヰブン)と不自由な事だらう」
③ (下に打消・禁止の語を伴って) 決して。必ず。
なかなか。容易には。
※天理本狂言・啼尼(室町末‐近世初)「『初た所へいて、ねむったらば、さんざんであらふ』と云。『ずいぶんねむりまらすまひ』と云」
※黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)下「治まりたる
御代にいても乱をわすれず、づい分油断なく
武芸はげみ」
[3] 〘形動〙
① 程度が相当なさま、すぐれているさま。→
随分の人。
② 非道であるさま。はなはだしく非難すべきさま。近代、多く女性の間に用いられる語。
※魔風恋風(1903)〈小杉天外〉後「
夫人も髄分だわねえ。だけれども、何だって其様な事を、阿嬢様に伺へなんて仰有るだらう?」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「随分」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報