飲む(読み)ノム

デジタル大辞泉 「飲む」の意味・読み・例文・類語

の・む【飲む/×呑む】

[動マ五(四)]
1 飲食物を口から体内に送りこむ。
㋐液体などをのどへ送りこむ。「水を―・む」「薬を―・む」「―・まず食わずの生活」
㋑酒をからだに入れる。「同僚と―・む」
2 吸い込む。吸う。「タバコをうまそうに―・む」
3 見くびる。また、圧倒する。「相手を―・んでかかる」「会場の雰囲気に―・まれる」
4 受け入れる。妥協する。「条件を―・む」「清濁併せ―・む」
5 外に出さないで抑える。こらえる。「息を―・む」「涙を―・む」
6 隠し持つ。「懐にどすを―・む」
7 呑み行為をする。
[可能]のめる
[用法]のむ・すう――「水を飲む」「薬を飲む」「卵を呑んだ蛇」などのように、「飲む」は液体や小さな固体など、口に入れたものを噛かまずに体内に送りこむことを言う。「要求を呑む」「相手を呑んでかかる」のような比喩ひゆ的な言い方もある。◇「吸う」は「汁を吸う」「空気を吸う」「タバコを吸う」のように液体や気体を口や鼻から呼吸作用とともに体内に引き入れること。◇「息を吸う」は呼吸することで、「息をのむ」となると驚いた時の形容になる。◇「吸う」は「湿気を吸う」のように物が何かを吸収して含んでいる状態も示す。◇タバコについては「のむ」「すう」どちらも使う。
[下接句]息を呑のむ・恨みを飲む・蛙かえるは口ゆえ蛇に呑まるる・風を吸い露を飲む・固唾かたずを呑む・渇しても盗泉の水を飲まず・気を呑む・声を呑む・言葉を呑む・酒が酒を飲む・蛇じゃが蚊を呑んだよう・蛇は寸にして人を呑む・酢でさいて飲む・清濁併せ呑む・爪つめの垢あかを煎せんじて飲む・どすを呑む・涙を呑む・熱鉄を飲む
[類語]喫する・服する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「飲む」の意味・読み・例文・類語

の・む【飲・呑】

  1. 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
  2. ① 口に入れて喉(のど)に下し胃に送りこむ。液体などを喉に流しこむ。
    1. [初出の実例]「八岐大蛇(やまたのをろち)の為に、所レ呑(ノマれ)き」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  3. ② 吸いこむ。吸う。
    1. [初出の実例]「わらびにてのめるたばこの不自由な旅はかたはらいたばしの宿」(出典:狂歌・後撰夷曲集(1672)六)
  4. ③ おさめ入れる。うけ入れる。あわせ取る。「清濁併せのむ」
    1. [初出の実例]「ダイワ ショウヲ nomu(ノム)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
  5. ④ 見くびる。あなどる。また、圧倒する。
    1. [初出の実例]「千葉屋発向の朝敵等猶畿内に満て、勢ひ京洛を呑めり」(出典:太平記(14C後)一一)
    2. 「勇みが来ようが、ぐっとこちらから呑(ノ)んでかかりねえな」(出典:歌舞伎・戻橋脊御摂(1813)序幕)
  6. ⑤ おさえる。こらえる。
    1. [初出の実例]「乃木大将夫妻の殉死がまた人々を驚かした。〈略〉国民は一斉にその血汐に向って暗涙を呑(ノ)んだ」(出典:時は過ぎゆく(1916)〈田山花袋〉五三)
    2. 「独りで啜泣きの声を呑むこともあった」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
  7. ⑥ 承知する。引き受ける。
    1. [初出の実例]「『才兵衛さん、今のをよろしう』〈略〉『のんでゐます』」(出典:洒落本・箱まくら(1822)上)
    2. 「解決案を両国が呑み」(出典:ある隷属国の悲劇(1955)〈中野好夫〉)
  8. ⑦ だまして自分のものにする。着服する。
    1. [初出の実例]「此守り袋には、お性根が入てあったれど、そりゃおれが飲(ノン)で仕廻ふて」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)長町)
  9. ⑧ 収める。隠す。また、隠し持つ。
    1. [初出の実例]「すぐ今朝の短刀を連想した。もしや懐に呑んで居りはせぬかと思ったら」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉一二)
  10. ⑨ ( 呑 ) 取引で、呑み行為をする。
    1. [初出の実例]「仲買も呑(ノ)んでゐる」(出典:金(1926)〈宮嶋資夫〉二〇)
  11. ⑩ ( 呑 ) 競馬・競輪などで、呑み行為をする。
    1. [初出の実例]「シーマーなら、何万円でものんでやるぜ」(出典:雪夫人絵図(1948‐50)〈舟橋聖一〉一)
  12. ⑪ 謡曲で用いる語。
    1. (イ) 「つ」の文字を「つ」と発音しないで、口を閉じて尾音を鼻に抜くように発音する。「日月」の「じつげつ」など。含む。
    2. (ロ) 回し節の後半にある字の産字(うみじ)(=母音)を「ン」に変えてうたう。「かア」を「かン」に、「きイ」を「きン」のようにうたうことをいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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