改訂新版 世界大百科事典 「都座」の意味・わかりやすい解説
都座 (みやこざ)
江戸の劇場。江戸初期に放下師(ほうかし)久三郎が堺町へ移り都伝内(みやこでんない)と名を改めて興行を行った。その後,万治(1658-61)ころ上方から放下師が下って都伝内と称したため,前者を古(いにしえ)伝内と呼ぶようになったという。新伝内も元禄(1688-1704)初年に絶えたが,1793年(寛政5)中村座が休座のとき,古伝内の子孫と称する都伝内が控櫓(ひかえやぐら)として興行を行った。また1817年(文化14)にも市村座の控櫓桐座が不振のため都座がかわって興行した。都座については,新古都伝内の経歴が不明瞭であるとともに,興行権の問題が複雑で,まだ不明な点が多い。なお,京都にある都万太夫座も都座と称した。
執筆者:近藤 瑞男
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