改訂新版 世界大百科事典 「配光」の意味・わかりやすい解説
配光 (はいこう)
luminous intensity distribution
配光は光源の空間に対する光度分布,すなわち光源から出る光の空間的分布である。配光の分布状態を示すものを配光曲線という。図1のように光源を原点Oとして空間に球極座標系を設定する。原点Oを光中心,光中心を通る鉛直軸LONを灯軸という。光源の直下を鉛直角θ=0°とし,直上をθ=180°にとる。光中心を通る水平面上,灯軸を含む一つの基準鉛直面よりほかの鉛直面のなす角を水平角φという。この鉛直面上の配光を鉛直配光,水平面上の配光を水平配光という。一つの鉛直配光を灯軸を軸として水平角で360度回転した配光を対称配光といい,そうでない配光を非対称配光という。光中心を通る水平面より上部の光束を上半球光束,下部の光束を下半球光束といい,両者合わせると光源の全光束になる。
さて,図2にろうそくと電球の配光曲線を示す。これらの光源は対称配光なので,一つの鉛直配光曲線を描けば十分である。光源直下からの鉛直角θに対して,その方向の光度を原点Oからの長さに比例させてプロットする。
非対称配光でもその程度が小さければ平均をもって代表させればよい。非対称性の大きい場合は,鉛直面をいくつもとり,各面の鉛直配光曲線を示さねばならない。例えば図3のような蛍光ランプを収めた照明器具の場合,厳密にはA-A,B-B,C-Cの各鉛直面でそれぞれ配光曲線が異なる。
照明設計に際して重要なのは白熱灯や蛍光灯を収めた照明器具の配光,いわゆる器具配光である。照明器具には無数の種類があり配光も千差万別である。おおまかに配光を分類するには,図4のように器具からの上半球光束と下半球光束の比率(%)に注目して直接照明から間接照明まで区分するのが便利である。なお,これらは室内照明の区分で,屋外の投光照明などは含まない。
執筆者:川瀬 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報