酒ずし(読み)さけずし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒ずし」の意味・わかりやすい解説

酒ずし
さけずし

鹿児島県の代表的な郷土料理で、酢を使わずに地酒でつくるところに特徴がある。外側が黒で内が赤の琉球(りゅうきゅう)塗の専用すし桶(おけ)(蓋(ふた)付き)を使い、豊富な山海の味を具にした伝統ある豪華なすしである。すし桶に地酒をふりかけたご飯を2~3センチメートルの厚さに入れ、下煮した野菜や酢じめした魚貝などの具をのせる。それを数段繰り返して木の芽を飾り、地酒をふりかけて蓋をする。これに重石(おもし)をかけ、数時間置いてから食べる。具は家庭によって違うが、タイ、エビ、イカ、貝、つけ揚げ(薩摩(さつま)揚げ)、卵焼きかまぼこ切干し大根シイタケタケノコ蓮根(れんこん)などが用いられる。地酒の分量も好みによって増減している。

[堤 方子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「酒ずし」の解説

酒ずし

鹿児島県の郷土料理。酢を使用せずもろみに灰を混ぜて作る「灰持(あくもち)酒」を使った五目寿司。

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世界大百科事典(旧版)内の酒ずしの言及

【すし(鮓∥鮨)】より

…ちらしずしは,関東では五目ずし,関西ではばらずしと呼ぶことも多い。さまざまな材料をそれぞれ適宜に味付けして酢飯に合わせるもので,広く家庭でつくられるが,とくに岡山地方の祭ずし,加賀の御贄(おにえ)ずし,鹿児島の酒(さか)ずしは名物として知られている。祭ずしは瀬戸内海の魚貝類を豊富に使い,御贄ずしと酒ずしは飯と具を合わせたのち,おもしをかけて数時間馴れさせる。…

※「酒ずし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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