酒屋町(読み)さかやまち

日本歴史地名大系 「酒屋町」の解説

酒屋町
さかやまち

[現在地名]長崎市魚の町うおのまち栄町さかえまち

今魚いまうお町の南西、中島なかしま川右岸にある長崎そと町の一ヵ町で、船手に属した。町並はほぼ南北に形成され、南は磨屋とぎや町に通じ、北は引地ひきち町に接する。文禄二年(一五九三)畑地を開いて町立てが行われ、外町では最も古く成立した四町の一つで、造酒屋・酒問屋の集住に由来する町名と考えられる。町内にサンティアゴ病院が開設され、教会が付属したが、慶長一九年(一六一四)に破却された。後藤宗印の印刷所も置かれた。寛永一九年(一六四二)平戸町人別生所糺によれば、平戸ひらど町の伊左衛門尉の父は元和六年(一六二〇)キリシタンとして「酒屋町」で病死している。寛文三年(一六六三)大火で二三九間・家数三一を焼失(寛宝日記)、同一二年の間数二四三間・実箇所数三一・諸役御免箇所三(長崎県史)。元禄二年(一六八九)改の間数二四三間三尺で、三一箇所のうち三箇所が諸役御免(長崎拾芥)。寛政七年(一七九五)放火ほうか山・金比羅こんぴら山からの出水で当町の「眼鏡橋」や板橋が落ちている(華蛮交易明細記)。文化五年(一八〇八)の長崎市中明細帳では町の縦の長さ一二八間五尺余・幅平均三間五尺余で坪数三千三八三坪余(地子銀一貫二三四匁九分)、箇所数三三、竈数七三・人家九〇、人別三三一、酒造高二石・醤油酢造高五石、石橋一・小石橋一、持船一。


酒屋町
さかやまち

[現在地名]観音寺市観音寺町中央町ちゆうおうちよう殿町とのまち

観音寺村を構成する一地区で、同村の中央部に位置する商家集落。元禄一一年(一六九八)の観音寺居所境内調書(観音寺市教育委員会蔵)によると高八三石余、家数一〇八・人数五一五、諸役代米四石。「西讃府志」では高一〇二石余、酒造家が多く地名となったといい、今も周辺の酒造家からの運上銀は当町より納めるとある。同書によると東西三町三三間・南北五二間、東は坂本さかもと、西は下市しもいちの諸村に接し、東西のうち東二町三〇間は坂本村、西一町三間は鍛冶かじ分の間に分け入っていた。


酒屋町
さかやまち

[現在地名]福江市栄町さかえまち

福江城の北西に位置する。延宝二年(一六七四)酒屋町の吉田屋に伊勢御師の使いが宿をとっている(五島編年史)。天和二年(一六八二)酒屋町が残らず焼失し(当時五一軒という)屋根尾やねお島に用材を得て復興に当たったようである(「貞方四郎兵衛勝亮書留」同書)。天明九年(一七八九)の巡見使答書領内調書(青方文書)に城下町数として酒屋町などの五ヵ町が記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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