出水(読み)シュッスイ

デジタル大辞泉 「出水」の意味・読み・例文・類語

しゅっ‐すい【出水】

[名](スル)
水が出ること。また、その水。「トンネル内に出水する」
洪水になること。でみず。「台風による出水
[類語]氾濫洪水大水鉄砲水増水冠水浸水水没水害

で‐みず〔‐みづ〕【出水】

大雨などのために河川などが急に増水して氾濫はんらんすること。洪水こうずい。しゅっすい。 夏》木曽川の―を見にと着たるみのたかし
[補説]俳句では、特に梅雨期のものをいい、秋の台風などによるものは「秋出水あきでみず」という。

いずみ〔いづみ〕【出水】

鹿児島県北西部の市。八代海に臨み、野間ノ関跡があり、中世は和泉氏領。鶴の渡来地として知られる。平成18年(2006)3月、野田町高尾野町と合併。人口5.6万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「出水」の意味・読み・例文・類語

で‐みず‥みづ【出水】

  1. 〘 名詞 〙 降雨などのために、川、池などの水量がふえること。また、水があふれ出すこと。大水。洪水(こうずい)。しゅっすい。《 季語・夏 》 〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「神田川出水(テミヅ)に、筋違(すじかい)の薪、ことごとく流れるを」(出典:咄本・鹿の子餠(1772)薪屋)

いずみいづみ【出水】

  1. [ 一 ] 鹿児島県北西部の地名。産業は主に農業。また、水産ではクルマエビが特産。特別天然記念物のツルの渡来地として有名。昭和二九年(一九五四)市制。
  2. [ 二 ] 鹿児島県の北西部の郡。八代海・東シナ海に面し、長島・獅子島なども含まれる。

しゅっ‐すい【出水】

  1. 〘 名詞 〙 大水がでること。洪水。でみず。
    1. [初出の実例]「毎年出水に浸かる木影の無い低地」(出典:田舎教師(1909)〈田山花袋〉三二)
    2. [その他の文献]〔論衡‐吉験〕

いで‐みず‥みづ【出水】

  1. 〘 名詞 〙 大雨などのため、河川、湖沼の水があふれること。また、その水。でみず。
    1. [初出の実例]「出水の加茂に橋なし夏祓」(出典:俳諧・蕪村句集(1784)夏)

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改訂新版 世界大百科事典 「出水」の意味・わかりやすい解説

出水[市] (いずみ)

鹿児島県北西端の市。2006年3月旧出水市と高尾野(たかおの)町,野田(のだ)町が合体して成立した。人口5万5621(2010)。

出水市東部の旧市。北は熊本県水俣市に接する。1954年出水町と米之津町が合体,市制。人口3万9155(2005)。古くは泉,和泉と書いたこともある。中心の出水は薩摩藩北辺の重要外城の一つだったところで,今でも武家屋敷が面影を残す。また江戸時代に出入りの取締りを行った野間の関の跡がある。北部は肥薩山地,南東は出水(紫尾)山地で,山地が広いが,北西は出水平野の一部で,水田は少ないが,畑地で野菜,果物の栽培が盛んなほか,特に苗木や庭園樹木の育成に特色があり,養鶏業も盛んである。市の西郊に第2次世界大戦中特攻基地があり,現在も碑があるが,大部分はゴルフ場になっている。西端の旧高尾野町との境にある荒崎海岸付近はツルの渡来地(特天)で毎年冬には最多1万羽のツルが舞う。戦前から国営アルコール工場があり,最近ではプラスチックや電子機器の工場ができた。八代海に面する米ノ津は天草諸島や長島との連絡港で物資の出入りが多く,また漁港,クルマエビ,ノリの養殖地でもあり,水産業が盛んである。市内に上場(うわば)遺跡出水貝塚がある。2004年には九州新幹線の出水駅が開業し,鹿児島本線は肥薩おれんじ鉄道となった。
執筆者:

出水市西部の旧町。旧出水郡所属。1959年江内村と合体。人口1万4000(2005)。八代海に臨み,東は旧出水市に接する。町域は旧出水市の飛地をはさんで高尾野地区と江内地区に分かれる。先進的な農業地帯で米作,野菜・タバコ栽培,畜産などが行われ,花木,苗木の生産も盛ん。1963年完成の国営出水干拓地の6割が当町に編入された。74年には内陸工業団地が完成し,農産加工,電子工業などの企業も進出している。荒崎地区は隣接の旧出水市,旧野田町とともにシベリアから渡来するナベヅルマナヅルの渡来地として特別天然記念物に指定されている。鹿児島本線(現,肥薩おれんじ鉄道),国道3号線が通じる。

出水市西端の旧町。旧出水郡所属。1975年町制。人口4752(2005)。南部は出水山地の一角を占め,町域の東縁を野田川および支流の御手洗(みたらい)川が北流し,流域西岸に広い沖積低地を形成して八代(やつしろ)海に注ぐ。鹿児島本線(現,肥薩おれんじ鉄道),国道3号線が通じ,野田郷(のだごう)駅を中心に市街地が発達する。中世は山門院(やまとのいん)野田郷に属する。米作およびタバコ,ネーブルオレンジなどの栽培が行われ,肉牛飼育,養豚,養鶏が盛んである。下名(しもみよう)の感応(かんのう)寺には島津忠久ら島津氏5代の供養塔がある。北部の旧出水市,旧高尾野町との境界付近の八代海に面する湿地帯は,鹿児島県のツルおよびその渡来地として特別天然記念物に指定されている。また,オールドカーフェスタの町として知られるようになった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出水」の意味・わかりやすい解説

出水(市)
いずみ

鹿児島県北西部、熊本県境に位置する市。1954年(昭和29)出水町と米ノ津(こめのつ)町が合併して市制施行。同年大川内(おおかわうち)村を編入。2006年(平成18)出水郡野田町(のだちょう)、高尾野町(たかおのちょう)を合併。南は出水山地、北は八代海(やつしろかい)に臨み、三角州や干拓地が広がる。JR九州新幹線、肥薩おれんじ鉄道(ひさつおれんじてつどう)、国道3号、328号、447号、504号が通じる。また、南九州西回り自動車道の阿久根(あくね)インターチェンジと出水インターチェンジ間が開通している。歴史が古く、縄文、弥生(やよい)時代の遺跡が多い。古代の書物には出水郡あるいは和泉(いずみ)郡と記されており、加紫久利神社(かしくりじんじゃ)は延喜(えんぎ)式内社。中世、和泉氏領から島津氏領となり、一時(1593~1598)豊臣(とよとみ)秀吉の直轄領。肥薩国境に面し重要な位置を占めるため、島津氏は麓(ふもと)(外城(とじょう))を武本に置いたほか、周囲8か所にも設置し、野間(のま)の関所を中心に北辺の防御にあたらせた。麓は武家屋敷の景観をいまも残し、1995年(平成7)12月に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。産業はおもに農業で、米、ミカン、タバコ、苗木の栽培に特色があるほか、畜産も盛んである。なお、八代海沿岸の干拓は元禄(げんろく)年間(1688~1704)以降に行われたもので、1965年には干拓地の総面積は約1500ヘクタールに及び、県内有数の穀倉地帯である。水産は沿岸、沖合漁業、ノリの養殖が盛んであり、クルマエビが特産。港は米ノ津川河口の名護(なご)と、藩米の積出し港として栄えた米ノ津がある。干拓地の荒崎一帯はツルの渡来地(ナベヅル、マナヅル、クロヅルなど約1万羽)として有名で、特別天然記念物になっている。また、湯川内(ゆがわち)や白木(しらき)川内などの温泉もある。面積329.98平方キロメートル、人口5万1994(2020)。

[平岡昭利]

『『出水郷土誌』(1968・出水市)』


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百科事典マイペディア 「出水」の意味・わかりやすい解説

出水[市]【いずみ】

鹿児島県北西部の市。1954年市制。西は八代海に臨み,干拓地を含む出水平野が開け,東部は山地。麓集落で城下町であった出水と港町の米ノ津に市街が発達,九州新幹線,肥薩おれんじ鉄道,国道3号線が通じる。米,ミカンを主産,電機・アルコール工場が立地,焼酎(しょうちゅう),クルマエビ,ノリ,果樹苗を特産。畜産も行われる。ツル渡来地(特別天然記念物),縄文時代の出水貝塚,湯川内・白木川内温泉がある。1995年ツル博物館がオープンした。2006年3月,出水郡高尾野町,野田町を編入。329.98km2。5万5621人(2010)。

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普及版 字通 「出水」の読み・字形・画数・意味

【出水】しゆつすい

洪水。

字通「出」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の出水の言及

【根圧】より

…すなわち,植物の幹を地上から少し上の所で切った場合,この切口から液が染み出てくることがしばしばある。これを溢泌(いつぴつ)または出水,出液bleeding,exudationという。その原因となる根における圧力が根圧である。…

※「出水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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