酒部(読み)サカベ

デジタル大辞泉 「酒部」の意味・読み・例文・類語

さか‐べ【酒部】

大化前代、酒の醸造を担当した部民べみん
律令制で、宮内省造酒司みきのつかさに属した伴部ともべ宮中節会せちえなど公用に用いる酒の醸造を担当した。

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精選版 日本国語大辞典 「酒部」の意味・読み・例文・類語

さか‐べ【酒部】

〘名〙
① 大化前代、酒の醸造に従事した部民
古事記(712)中「次に神櫛王は 木国の酒部(さかへ)阿比古
令制で、宮内省所管の造酒司(さけのつかさ・みきのつかさ)に属した伴部(ともべ)。公用の酒の醸造を職掌とした者。
令義解(718)職員「酒部六十人。〈掌〉」

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世界大百科事典(旧版)内の酒部の言及

【造酒司】より

…酒,醴(あまざけ∥こさけ),酢等の醸造,天皇等への供奉や官司等への供給をつかさどる令制の宮内省所属の官司。職員は,正(長官),佑(判官),令史(主典)各1人,酒部(さかべ)(伴部)60人,酒戸(しゆこ)(品部)等。酒部は酒類の供奉や供給(酌や献酒など)をつかさどる。…

【杜氏】より

…《日本書紀》の崇神紀に〈高橋邑(たかはしのむら)(現,天理市)の人,活日(いくひ)を以て大神の掌酒(さかびと)とす〉とあり,これが記録に残るはじめての杜氏で,奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社境内にある活日神社は現在でも杜氏の信仰を集めている。《令義解(りようのぎげ)》によれば大和,河内,摂津の3国出身の60人の酒部(さかべ)が造酒司で酒造に従事し,彼らは調(ちよう),雑徭(ぞうよう)を免ぜられている。現在,青森(津軽杜氏),秋田(山内),岩手(南部),新潟(越後),静岡(志太),長野(諏訪),石川(能登),福井(糠(ぬか)),京都(丹後),兵庫(丹波,但馬,城崎),岡山(備中),広島(安芸津),山口(熊毛,大津),島根(秋鹿(あいか),石見),愛媛(越智,西宇和),高知(香美,幡多),福岡(三潴(みづま),柳川)の1府16県に24の杜氏集団があり,1979年現在,全国で1万4756名の酒造季節労務者(うち杜氏2444名)が清酒醸造に従事している。…

※「酒部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」