朝日日本歴史人物事典 「重明親王」の解説
重明親王
生年:延喜6(906)
平安中期の皇族。醍醐天皇と大納言源昇の娘の子。初め将保,6歳のときに改名。異母兄の克明,保明が没したため皇位継承者として浮上したが実現はしなかった。しかし時の権力者藤原忠平の娘寛子(当初は皇太子保明親王妃),寛子没後は同じく師輔の娘登子と婚姻を結んでおり,親王の立場が示されている。天慶6(943)年式部卿。たぐいまれな容儀才学の持ち主であったことから,『源氏物語』のモデルという話も生まれた(『参語集』)。吏部(「りほう」とも。式部卿の唐名)王とも呼ばれ,日記『吏部王記』は10世紀初めの貴族社会を知るうえでの貴重な史料。
(瀧浪貞子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報