重航空機(読み)じゅうこうくうき(その他表記)heavier-than-air-aircraft

日本大百科全書(ニッポニカ) 「重航空機」の意味・わかりやすい解説

重航空機
じゅうこうくうき
heavier-than-air-aircraft

空気より重い航空機。HTAと略すことがある。空気より比重の軽いガス体と空気との比重の差による浮力、つまり静的な揚力によって空中に浮かぶ気球飛行船などの軽航空機に対する名称で、回転翼固定翼を問わず翼を備え、その翼に生ずる空気力学的力、動的な揚力によって空中に浮かび運動する航空機(飛行機グライダーヘリコプターなど)をいう。ただし、空気を高速度で地面に吹き付け、その反動を利用して空中に浮かび上がる乗り物、ホバークラフトは空気より重いが、規定(耐空性基準)によって航空機ではないので、重航空機には含まれない。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の重航空機の言及

【航空】より

…この運航は第1次世界大戦の始まる14年まで続き,3万4000人を運んだ。
[空気より重い航空機の登場]
 気球,飛行船のような空気より軽い航空機――軽航空機――に対し,翼に働く動的空気力(揚力)で重量を支えて飛ぶ空気より重い航空機――重航空機――すなわちグライダー飛行機ヘリコプターなどはその発達が著しく遅れた。人間が重航空機を発明するに当たって,まず手本にしたのは鳥であるが,鳥は複雑な羽ばたき運動によって,重量を支える揚力と前進のための推進力を同時に発生させて飛んでいる。…

【航空機】より

…ただし宇宙船,宇宙ロケットのように宇宙空間を飛ぶものは含めない。空気より軽い軽航空機lighter‐than‐aircraftと空気より重い重航空機heavier‐than‐aircraftとに分けられる。前者は空気より軽いヘリウムや水素のガスを袋に詰めたり,あるいは袋の中の空気をバーナーなどで熱して周囲の空気より軽くすることにより,機体全体の比重を空気の比重より軽くし,浮力を利用して浮くもので,航行のための動力の有無によって飛行船気球に分けられる。…

※「重航空機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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