野登寺
やとうじ
[現在地名]亀山市安坂山町
鶏足山と号し、野登山(八五一・六メートル)にある真言宗の寺。本尊千手観音。寺伝によれば、醍醐天皇の夢想によって延喜年中(九〇一―九二三)に開創され、同一〇年、僧仙朝が開基の供養を行ったという。本堂・方丈・庫裏・護摩堂・大日堂・仁王門などを備え、寺領三〇〇貫を維持した。天正一一年(一五八三)豊臣秀吉の安楽越による兵火で伽藍のすべてを焼失。慶長六年(一六〇一)亀山城主関一政のもとで観音堂と客殿を、貞享元年(一六八四)には鐘楼・梵鐘を再建し、野登山の西にそびえる仙ヶ岳(九六一メートル)に奥院を建立して不動尊石像を安置し、支院を野登山麓の池山村に開いた(五鈴遺響)。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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