野談(読み)やだん

世界大百科事典 第2版の解説

やだん【野談】

朝鮮の物語本。広く民間に伝わる野史巷談,街説,軍談などが収録されており,人情の機微や世態・風俗などが描かれている。また,庶民の鋭い風刺と機知に富む作品も多く,朝鮮民族のこころを知るうえでも貴重な資料といえよう。史話が正史をもとにして作られた物語であるのに対し,野談は一個人の手になる野史的なものが素材となった。したがって,より自由なフィクションの世界が展開されており,生き生きとした庶民の姿がそこには投影されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

野談
やだん / ヤダム

朝鮮の物語本。広く民間に伝わる野史、巷談(こうだん)、軍談などが収録されており、人情の機微や世態、風俗などが描かれている。また、庶民の鋭い風刺と機知に富んでいる作品も多く、朝鮮民族の心を知るうえでも貴重な資料といえよう。史話が正史をもとにしてつくられた物語であるのに対し、野談は一個人の手になる野史的なものが素材となった。したがって、より自由なフィクションの世界が展開されており、生き生きとした庶民の姿がそこには投影されている。野談が登場した時期についてはまだ定説がない。野談が民間に流布する街説や巷談を主題にした稗官(はいかん)小説と同意語として使われる場合もあるからである。野談の代表的なものとしては、柳夢寅(りゅうぼういん)(1559―1623)の『於于(おう)野談』(5巻1冊)、19世紀のものと推定される『青丘野談』(6巻9冊)がある。最初漢文で書かれたものだったが、のちにハングルに訳され広く伝わった。なお、第二次世界大戦後、白大鎮(はくだいちん)らによって『韓国野談全集』全10巻(1964)などが出版されている。[尹 學 準]

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