化学辞典 第2版 「銅触媒」の解説
銅触媒
ドウショクバイ
copper catalyst
銅の触媒作用を利用した触媒.銅触媒は水素化,脱水素,酸化など限られた反応の触媒となるが,その活性は低い.しかし,その低活性を利用してニトロベンゼンからアニリンへの選択水素化などに用いられる.また,アルコール類の脱水素においても選択性が高い.酸化クロムとの複合系はアドキンス触媒として実用化されている.酸化反応においてはメタノールの酸化などに古くから用いられ,またCuO-ZnOはメタノール合成の主要な触媒である.塩化銅(Ⅱ)はエテンのオキシ塩素化触媒に欠かせない成分であり,エテンの液相酸化によるアセトアルデヒド合成のワッカー法(ヘキスト-ワッカー法)の触媒にも,助触媒として欠かせない成分である.古くはアセチレンの二量化によるビニルアセチレンの合成,アセチレンへのシアン化水素の付加によるアクリロニトリルの合成に,塩化銅(Ⅰ)と塩化アンモニウムとからなるニューランド触媒が使われた.Cu-ゼオライトは,NOの分解および炭化水素による選択還元に触媒作用を示す.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報