銜える(読み)クワエル

デジタル大辞泉 「銜える」の意味・読み・例文・類語

くわ・える〔くはへる〕【×銜える/×啣える/×咥える】

[動ア下一][文]くは・ふ[ハ下二]
口に軽く挟んで支える。「楊枝ようじを―・える」「物欲しそうに指を―・えている」
引き連れる。伴う。
「君は小夜さんを何時迄も―・えている気は無いね」〈二葉亭其面影
[類語]齧るかじり付くかぶり付くかじり散らす丸かじり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「銜える」の意味・読み・例文・類語

くわ・えるくはへる【銜・啣・咥】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]くは・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 口に軽くはさんでささえ持つ。口にはむ。
    1. [初出の実例]「筆の尻くはへて、思ひめぐらし給へるさま、あくよなくめでたし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
    2. 「烏一番(ひとつがひ)杉の葉を一枚噛(クハヘ)て甲(かぶと)の上へぞ落しける」(出典太平記(14C後)一六)
  3. ひき連れる。身に従える。たずさえる。
    1. [初出の実例]「気に入らいでいなした嫁、遠州もどりに在所へ寄りよふくはへて戻ったな」(出典:浄瑠璃・心中宵庚申(1722)下)
  4. 芸妓が客をつかまえることを、花柳界でいう。〔隠語構成様式并其語集(1935)〕

銜えるの補助注記

室町時代頃から「くはゆ(る)」が使われたが、その例は「くわゆ」の項にあげた。→くわゆ

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