錣引(読み)シコロビキ

デジタル大辞泉 「錣引」の意味・読み・例文・類語

しころ‐びき【×錣引/××曳】

屋島の戦いで、平景清と源氏方の美尾谷みおのや十郎国俊が格闘し、景清がつかんだ国俊の兜のが切れたという伝説歌舞伎に脚色され、さまざまな趣向で演じられた。一幕物としては、摩耶山で非人姿の景清と巡礼姿の国俊が演じるものが現行する。

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関連語 戦い 屋島

歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「錣引」の解説

錣引
しころびき

歌舞伎・浄瑠璃外題
作者
河竹黙阿弥 ほか
初演
明治21.10(名古屋・新守座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の錣引の言及

【源平合戦物】より

…ついで《平家物語》と関連の深いものとしては,俊寛,清盛の対立を主題とする《平家女護島(によごのしま)》,義仲の最期をめぐる《ひらかな盛衰記》,一ノ谷の合戦にからめた《須磨都源平躑躅(すまのみやこげんぺいつつじ)》《一谷嫩軍記(ふたばぐんき)》,屋島の合戦をとりあげた《那須与市西海硯》などの浄瑠璃諸曲があり,さらに平家滅亡後の時期のものには,兄の頼朝に追われる悲運の義経に焦点を合わせた浄瑠璃《御所桜堀川夜討》や能を歌舞伎舞踊化した《船弁慶》のほか,戦死したはずの平家の武将たちが実は生きながらえていたという奇警な構想を展開させた浄瑠璃《義経千本桜》等々,本系列における代表的な傑作が多数生み出されている。なお,屋島の合戦に活躍した平家方の勇士景清を主人公とする歌舞伎の《錣引(しころびき)》以下,その敗北後のさまを描いた浄瑠璃《壇浦兜軍記》《嬢景清八島日記(むすめかげきよやしまにつき)》や歌舞伎十八番の《景清》など一群の作品もこの系統に属するものといえよう。これらのうち,伊豆に配流された頼朝の雌伏時代を描いた諸作を別に〈伊豆日記物〉と呼び,また,義経の事跡をとりあげているものを,源平合戦後の《義経腰越状》や《勧進帳》などをも含めて,〈義経記物〉と総称することもある。…

【平景清】より

…《平家物語》,謡曲,能などで悲劇的な英雄としてとりあげられる。【田中 文英】
[人物像の形成と展開]
 景清について《平家物語》に語られる話としては,巻十一〈弓流〉の錣(しころ)引きがほとんど唯一のものである。屋島の戦のさい,義経の奇襲で海上に逃れた平家方から,3人の武士が陸に上がる。…

※「錣引」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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