朝日日本歴史人物事典 「鍵屋五兵衛」の解説
鍵屋五兵衛
生年:生年不詳
江戸中期のかくし念仏(御内法)の指導者。京都の人。法名は善休。かくし念仏は浄土真宗の流れをくむ念仏信仰の一派で,即身成仏をめざす真言系の秘密念仏の要素もあるとされる。本願寺の「表法」とは別に,蓮如の奥義を伝授された「内法」があり,それが鍵屋に伝えられたとされ,極度の秘密性を重んじてきた。鍵屋第2代の五兵衛が組織の大成者とされる。加入儀礼の「お取り上げ」を受けた,陸中国胆沢郡水沢(岩手県水沢市)の長吉や山崎杢左衛門らによって仙台藩などに広められたが,宝暦4(1754)年に2人が磔刑に処せられるなどの弾圧を受けて地下に潜行した。
(川村邦光)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報