鎌原村遺跡(読み)かんばらむらいせき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎌原村遺跡」の意味・わかりやすい解説

鎌原村遺跡
かんばらむらいせき

群馬県吾妻(あがつま)郡嬬恋(つまごい)村に所在する、1783年(天明3)浅間山噴火によって埋没した、江戸時代の村落遺跡。埋没した鎌原村は、浅間山の北麓(ほくろく)標高900メートル前後の位置にあり、中山道(なかせんどう)の脇(わき)街道に面した人口五百数十人、戸数約120戸の宿場的機能をもった村落と推定される。噴火の際に発生したいわゆる「押し出し」によって、観音堂などのある高所をわずかに残して、全村一瞬に埋没し、犠牲者は全人口の約80%に及ぶ477人とされている。以後、悲劇の村として語り継がれてきたが、1979年(昭和54)以来、考古学的な発掘調査が実施され、埋没家屋や石段さらに寺院の一部が確認される一方、犠牲者の遺体および多数の生活用品が発見された。また、災害時の地表、それを覆う地層なども明らかにされた。調査結果は、現在、歴史、社会、火山地質、土壌学などの各方面から検討が加えられ、災害時の実態が総合的に解明されようとしている。

[松島榮治]

『浅間山麓埋没村落総合調査会・東京新聞編集局特別報道部編『嬬恋・日本のポンペイ』(1980・東京新聞出版社)』『浅間山麓埋没村落総合調査会編・刊『天明三年(1783)浅間山大噴火による埋没村落(鎌原村)の発掘調査』(1982)』

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