鏡姫王(読み)かがみのおおきみ

朝日日本歴史人物事典 「鏡姫王」の解説

鏡姫王

没年:天武12.7.5(683.8.2)
生年:生年不詳
万葉歌人。鏡女王,鏡王女にもつくり,系譜・経歴ともに明らかではない。通説では鏡王の娘で額田王の姉とするが,鏡姫王の墓が舒明天皇陵の域内にあることから(延喜諸陵式),舒明の皇女で天智・天武の姉妹とする説が有力である。他に「姫王」の語から舒明の皇孫に当たるとする説,威奈鏡公の娘とする説もある。『興福寺縁起』には,鎌足の「嫡室」鏡女王が,鎌足の病気平癒を祈って,山階寺を建立したと伝える。天武12年7月,死に臨んで天皇の見舞いを受けていることは,女王が皇室と縁の深い女性であったことをうかがわせる。『万葉集』には天智への返歌秋山の樹の下隠り逝く水のわれこそ益さめ御思よりは」や藤原鎌足との相聞歌など4首,『歌経標式』に1首が残り,純粋素直な秀歌と評されている。<参考文献>中島光風「鏡王女について」(『文学』11巻10号)

(梅村恵子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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