鏡水村(読み)かがんじむら

日本歴史地名大系 「鏡水村」の解説

鏡水村
かがんじむら

[現在地名]那覇市鏡水かがみず

安次嶺あしんみ村の北西にあり海に臨む。一九〇三年(明治三六年)沖縄県土地整理事業終了後、安次嶺村儀間じーま村の一部屋取集落を中心に新設された。仕明地と小作人が多く、農業が盛んで鏡水大根は有名。同年の県統計書では戸数九三・人口五七六、うち士族四戸・二二人。民有地総反別一二六町二反余、うち田四町七反余・畑一〇一町五反余・宅地三町二反余。宝暦二年(一七五二)二月から同四年三月まで薩摩鹿児島藩の琉球在番奉行であった島津矢柄は当地一帯の眺めを「このもかのもを尋ぬるに、爰はますみの鏡洲とて、虎伏野とも見し中に一つの草の庵を結び、外囲には松林常盤の色をあらはし、風雅の亭とみえ、誰人の住るぞと、かたへの人に問ぬれば、粟国雅丈の別墅となんおしへあり、人里遠き鄙の地に、かかる庵の有ことは、藪の中にも咲梅の色にはさまで見えねども、香やはかくるる事ぞなき内の住居の床しくて、庵の守りに案内し、内入見れば、庭の面わざとならぬいはほの山高らず、ひくからず、苔むして見えてふるめかし、みぎりには松竹生茂り、千世を経ぬべき面影、蘇鉄・あだに・桃などもみえ、仙境にやとうたがひ、七の賢き人も遊び給はん所なり、軒には安歓亭と額を掛、雅丈暇の折々は此所にあゆみをはこび、うさをはらし給ふとぞ、扨庵より四方をみるに、先南には当間・赤嶺・安次嶺引続き、山の姿岡のはへ、見所多く侍りぬ」と描写する(浮縄雅文集)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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