日本大百科全書(ニッポニカ) 「長持唄」の意味・わかりやすい解説
長持唄
ながもちうた
日本民謡の分類上、祝い唄のなかの一種目。嫁入りの花嫁道具の代表格、箪笥(たんす)長持を運ぶおりの唄の総称。その源流は東海道、箱根峠あたりの雲助が歌っていた「雲助唄」であるが、それを、参勤交替の大名行列の人足に助郷(すけごう)として駆り出された農民が覚え、それぞれの村へ持ち帰ると、花嫁行列を大名行列に見立て、箪笥長持担ぎの唄として用い始めたのである。なお、この唄は担いで歩きながら歌うのではなく、柄を息杖(いきづえ)で支えておいて、花嫁や荷物を褒めたたえた文句を歌ったり、担ぎ手の交代の場合などの問答歌として利用されてきた。節回しは全国各地大同小異であるが、宮城県仙台市以北のものがもっとも美しい。
[竹内 勉]