江戸時代,街道筋にいて交通労働などに従事した住所不定の人足。助郷(すけごう)制の矛盾が最大の要因となって発生したもので,行方さだめぬ浮雲のような存在であったため雲助の呼称が生じたと思われるが,その離合集散がクモの子を散らすごとくであるための称とする説もある。一般の旅行者にとってきわめて有害危険な存在であったため,幕府の道中奉行はしばしば各宿駅の問屋や年寄に対してその取締りを命じている。国学者堀秀成はその著《磯山千鳥》の中で,雲助はほとんど肩にこぶがあり,股にはよこねのあとがあり,宿の問屋場の裏の小屋に多く集まっている,ばくちに勝てば小屋にいて茶わん酒を飲み,負ければ仕事に出るなどといい,また,大名どうしの交わりと雲助のそれがよく似ている,なぜかといえば雲助たちはおたがいを呼ぶのに薩州,加州,因州などと国名をもってすることが多いからだとも書いている。
執筆者:鈴木 晋一
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江戸時代に、宿駅、渡し場、街道筋を舞台に、荷物の運搬や、川渡し、賀籠(かご)かきなどを生業とした、住所不定の道中人足をいう。
雲介、蜘蛛助とも書き、浮き雲のように住所が定まらないからなど、語源にはいくつかの説がある。近世に農民が助郷(すけごう)の夫役(ぶやく)を代銭納するようになると、農民の労働力に依存できなくなった宿場では、専従の人足を必要とした。1686年(貞享3)幕府は廻状(かいじょう)で、出所の知れた浮浪人の日雇人足への採用を許可している。この宿場人足は、幕府の御定賃銭を問屋場(といやば)から支払われ、問屋場裏の人足部屋に起居し部屋頭(がしら)の支配を受け、部屋人足ともよばれた。道中筋でたかりや人殺しなどを行い、「ごまのはい」と同じく無宿の悪漢とされた雲助は、この宿場人足とはいちおう別の、個人の営業によるものである。荷物や駕籠を担いで道中を行くとき雲助が歌った唄(うた)を雲助唄という。
[片岸博子]
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宿駅の問屋場付属の人足部屋に住み,街道で貨客輸送に従事した人足・交通労働者。日用(ひよう)の一形態。語源は雲のように居所が定まらない,また立場(たてば)で旅人に駕籠(かご)を勧めるさまが虫を捕らえるクモに似るからともいう。宿場が常備人馬を調達できなくなり,かわって人足を常雇するようになったため発生した。なかには無宿人や無頼の徒も多く混入し,江戸幕府は17世紀末以降たびたび取締令を出している。
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…竹,蔓,木の小枝,針金などを編んでつくった入れ物。語源は定かではないが,上代に〈こ〉と呼ばれていたことを考えれば,〈か〉の由来する言葉との合成語であることがわかる。すなわち〈か〉は竹の意とも堅の意ともいわれ,〈こ〉に形容的に冠している。あるいはまた,構籠(かきご)や囲むの略義であろうとする説もある。籠の文献上の用例としては,まず鎌倉時代に書かれた《名語記》の〈こころ流浪の行人のせなかに負たる籠をかこおひとなつけたり〉をあげることができる。…
※「雲助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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