長曽禰虎徹(読み)ナガソネコテツ

デジタル大辞泉 「長曽禰虎徹」の意味・読み・例文・類語

ながそね‐こてつ【長曽禰虎徹】

虎徹こてつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長曽禰虎徹」の意味・わかりやすい解説

長曽禰虎徹
ながそねこてつ
(?―1678)

江戸前期の刀工。近江(おうみ)国長曽禰村(滋賀県彦根市長曽根町)の出で、のちに越前(えちぜん)国(福井県)へ移住した者の一族。名は興里(おきさと)、入道して古鉄・虎徹・乕徹と称した。この派には、建築金具をはじめ、轡(くつわ)や甲冑(かっちゅう)などを手がけた者もいて、寛永(かんえい)(1624~44)ごろからの遺品がある。虎徹興里はもと越前の甲冑師といわれ、のち江戸に出て刀匠に転じ、名声を博した。作刀に「本国越前住人至半百住武劦之江戸尽鍛冶之工精尓」銘のものがあり、半百すなわち50歳に出府したとの解釈もあるが、1664、65年(寛文4、5)ごろ50歳ぐらいであったとの見方が妥当であろう。刀剣の師は明らかでないが、和泉守兼重(いずみのかみかねしげ)とするのが定説となっている。作品は明暦(めいれき)2年に始まり延宝(えんぽう)5年(1677)に終わっている。その作風は鋼の鍛錬に巧みで、さえた地鉄(じがね)のよさは他の追従を許さず、数珠刃(じゅずは)と称する沸(にえ)の厚くついた互(ぐ)の目に太い足の入った刃文に特色があり、この作風が以後多くの刀工に影響を与えた。没年は延宝6年6月24日という。新刀第一の名工誉れが高い。弟子には2代目虎徹の興正(おきまさ)をはじめ、興直(おきなお)、興久(おきひさ)がいる。

[小笠原信夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android