日本大百科全書(ニッポニカ) 「長者ヶ崎」の意味・わかりやすい解説
長者ヶ崎
ちょうじゃがさき
神奈川県三浦郡葉山町と横須賀市(よこすかし)との境にある岬。相模(さがみ)湾に約400メートル突出する。三浦半島の尾根といわれる大楠山地(おおぐすさんち)の西端にあたり、泥岩層(逗子(ずし)泥岩層)からなり、基底は凝灰岩層(御用邸岬凝灰岩)で、地質上の向斜部が、硬い泥岩層による選択侵食のために山嶺(さんれい)となったものの典型とされる。1177年(治承1)伊豆に流されていた源頼朝(よりとも)が三浦半島を訪れてここの景色を賞したが、案内していた土豪の芦名三郎(あしなさぶろう)が、あたり一帯の植林に精を出して成功した長者の物語をしたのが地名のおこりと伝える。三浦半島西岸第一の展望地で、江の島から湘南(しょうなん)海岸一帯、富士、箱根、伊豆半島、大島、三浦半島南端部が一望のもとに収められる。横須賀側の南斜面では、草花、エンドウづくりが盛んで、早咲き、早取り(正月用)で知られる。夏は海水浴場となる。逗子駅からバスで15分。
[浅香幸雄]