日本歴史地名大系 「長部山遺跡」の解説
長部山遺跡
ながべやまいせき
利根川へ向かって開析する香取谷に北面する舌状台地上に立地する。標高四〇メートル前後、水田面との比高三五メートル。奈良・平安時代の集落跡を中心とするが、弥生時代の竪穴住居跡二二軒、古墳時代前・中期の竪穴住居跡一三軒、中世の掘立柱建物跡数棟、多数の土壙、城にかかわる土塁・柵列などが検出されている。昭和五四年(一九七九)と平成元年(一九八九)に発掘調査され、検出された奈良・平安期のおもな遺構は八世紀代の竪穴住居跡三三軒、九世紀から一〇世紀代の竪穴住居跡六七軒・掘立柱建物跡一四棟。出土遺物のなかで特徴的なものは「姦」「姦」「大畠」「大家」「家長」「厨」「息家」「村人」「山」など六五点以上出土した墨書(線刻)土器で、「姦」(線刻一点)と「姦」(墨書四点)はいずれも八世紀後半頃のもので、当遺跡からのみ出土。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報