日本歴史地名大系 「開基帳」の解説
開基帳
かいきちよう
一五冊
別称 水戸開基帳
成立 寛文三年
分類 地誌
原本 茨城県歴史館(九冊)
写本 彰考館(一五冊)
解説 水戸藩が二代藩主徳川光圀の時代に行った強力な宗教統制、社寺の整理の際に基礎資料として作成したもの。まず領内全社寺の実態把握のため、各村ごとに社寺についての書上を提出させ、それを整理して宗派ごとの帳簿を作成した。現存の原本は真言宗四冊、天台宗一冊、浄土宗一冊、臨済・曹洞宗一冊、日蓮宗一冊。原本は明治維新の際、水戸藩から茨城県に引継がれたと推定される。彰考館蔵の写本は上記のほか真言宗一冊、一向宗一冊、時宗一冊、山伏一冊、行人一冊、それと鎮守開基帳二冊よりなる。文化一〇―一三年の写本。記事は境内・付属地と石高、本寺、宗派、僧侶・神職の身分、除地、証文の有無、開創・中興の年代、開山・開基(外護者)の名、寛文三年までの存続年数、付属の堂宇、檀家数など。近世初期以前の水戸藩領内の社寺の分布およびその機能、教団展開の様相を具体的にうかがうことができる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報