阿那律(読み)アナリツ

デジタル大辞泉 「阿那律」の意味・読み・例文・類語

あなりつ【阿那律】

《〈梵〉Anuruddhaの音写釈迦しゃか十大弟子一人失明と引き換えに天眼てんげんを得たことから、天眼第一と称された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿那律」の意味・わかりやすい解説

阿那律
あなりつ

仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))の十大弟子の一人。パーリ語アヌルッダAnuruddhaの音写で、正しくは阿那律陀(あなりつだ)と写す。如意と訳す。また阿尼盧陀(あにるだ)という音写もあり、その原語はアニルッダAniruddhaと推定される。そのときは無滅と訳す。生没年不詳。シャカ人の王甘露飯(かんろぼん)Amritodanaの子で、マハーナーマMahānāmaの兄弟。阿那律は、仏陀が説法していたとき居眠りをし、なんのために出家したのかと叱(しか)られて、以後仏陀の前では決して眠るまいと誓いをたて、ついに失明してしまったが、そのために天眼(てんげん)(見通す能力)を得たというエピソードが伝えられており、「天眼第一」といわれる。第1回結集(けつじゅう)においては『増一阿含(ぞういちあごん)』の集成に貢献した。

高橋 壯 2016年11月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿那律」の意味・わかりやすい解説

阿那律
あなりつ
Aniruddha

インドの僧。釈尊十大弟子の一人。釈尊の従弟。釈尊の説法中居眠りしたのを恥じ,不眠の誓いを立て,失明するにいたったという。

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世界大百科事典(旧版)内の阿那律の言及

【十大弟子】より

…辺地では5人の師しかいなくても授戒する許可を仏から得た。(7)阿那律(あなりつ) サンスクリット語でアニルッダAniruddha。天眼第一。…

※「阿那律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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