院庄館跡〈児島高徳伝説地〉(読み)いんのしょうやかたあと〈こじまたかのりでんせつち〉

国指定史跡ガイド の解説

いんのしょうやかたあと〈こじまたかのりでんせつち〉【院庄館跡〈児島高徳伝説地〉】


岡山県津山市神戸(じんご)にある館跡。津山盆地の西端、吉井川左岸の微高地に所在し、鎌倉時代から室町時代にかけての美作(みまさか)守護職の館(平城)があったところで、現在は明治時代に建てられた作楽(さくら)神社の境内になっている。発掘調査で、館の規模は東西200m、南北150mほどと推測され、東・北・西側に残っている土塁は、最初の館の構築から少し後に築かれた往時の土塁を踏襲したもので、中には井戸、掘立柱建物があったことが判明した。青磁白磁、墨書磁器、備前焼なども出土している。ここは1332年(元弘2・正慶1)、後醍醐(ごだいご)天皇が隠岐に配流(はいる)される際、天皇の行在所(あんざいしょ)となり、備前郷士の児島高徳が天皇をなぐさめるために桜の幹に「十字の詩」を記して忠誠を表したという伝説の地として有名である。1688年(貞享5)に、津山藩主森氏の家老長尾勝明故事をしのんで桜を植樹し、これを称える碑を建てた。1922年(大正11)に国の史跡に指定された。JR姫新線院庄駅から徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報