岡山県北東部にある中国地方最大の盆地。北側の中国山地と南側の吉備高原の間に位置し,吉井川の上流域に属する。北は鳥取県との境の那岐(なぎ)山(1255m)や山形仙(やまがたせん)(791m)に限られ,東半分は洪積層(日本原(にほんばら)層)が顕著に発達しているが,津山付近では第三紀層の丘陵が多い。瀬戸内海から50kmの内陸部にあり,標高100~200mで,気候は盆地性の特色を示す。年間を通じて霧がよく発生し,特に冬には多い。那岐山南側の日本原一帯では広戸風という局地的強風が8~9月に吹く。これは台風や強い低気圧が四国沖を北東進するときに生じ,農作物に大きな被害をもたらすことがある。盆地の中心は,江戸時代以来の美作(みまさか)地方の政治,経済の中枢をなす津山市である。二次的中心としては美作市の旧作東町江見,旧美作町林野,勝田郡勝央(しようおう)町勝間田などがある。
盆地内の低地は水田になっているが,丘陵部は美作台地総合開発事業の開墾・畑地灌漑によって花卉,野菜,果樹の栽培や酪農も見られる。周辺山地では植林も進んでいる。津山は古くから諸往来の要になっていたが,現在も国道53号線が岡山および鳥取に,国道179号線が姫路および倉吉に,国道181号線が米子に通じ,JRの姫新線と津山線,因美線がここで交わる。さらに1974年中国自動車道が開通した。これは美作地方に開発ブームを呼び起こしたが,県土保全条例などで乱開発にはいちおう歯止めがかけられた。工業化は,津山市域での工業団地のほか,勝央町の勝央中核工業団地などの造成を中心に進められている。
執筆者:由比浜 省吾
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岡山県北東部にある盆地で、中国山地と吉備(きび)高原の間に東西に分布する盆地列中の最大。北側には那岐(なぎ)山(1255メートル)、山形仙(791メートル)などがあり、山麓(さんろく)の丘陵や台地は、古生層、中生層からなる基盤岩および第三紀層、洪積層よりなる日本原層で形成される。低部には吉井川とその支流の形成した沖積層がある。標高100~200メートルで、気候は全体としては瀬戸内型であるが内陸性を示し、岡山と比べて平均気温、最高・最低気温とも低く、降水量は多い。霧の発生日数が年間約100日あり、とくに冬に多い。盆地の東部、那岐山麓の勝田郡奈義(なぎ)町や津山市の東部に発生する局地風は広戸風(ひろとかぜ)として知られる。盆地の中心都市は津山市。
[由比浜省吾]
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