追跡と逃避による陣地の取合いの遊び。〈城取り〉〈陣入り〉〈陣屋取り〉〈とりで取り〉〈人取り〉などの別称がある。陣取り遊びとしての定型はないが,基本的概要は以下のとおり。(1)参加者を等人数の2組に分けて,組ごとに陣地(電柱,門柱,樹木など)を設定する。(2)〈始め〉の合図で双方より出陣開始。(3)途中相手方に出合ったときは,後に出陣した者に捕らえる権利がある。(4)捕らえたときは,捕虜として自分の陣地に連行する。(5)捕虜は片足または片手を陣地につけて他方の片手を伸ばし,味方の救出を待つ。2人以上のときは手をつなぎ前に出る。味方がきて先頭の者とタッチすれば救出され,陣地に戻って再び味方に加わる。(6)相手方を多く捕虜にした組,全員捕虜にした組,あるいは相手方にタッチされずに相手の陣にタッチした組が勝ちとなる。明治以前の文献に陣取りという名称は見られないが,おそらく同類型の遊びは行われていたであろう。明治時代になって,とくに中期以降人気を博し,全国的に流行した。
執筆者:半澤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
子供の戸外遊戯の一つ。2組に分かれて相対し、柱や樹木などを陣地と定めて集まる。それぞれ敵の陣地を奪うべく争うのであるが、互いに敵方の者の身体に触れればその者を捕虜とすることができる。捕虜を多くし、敵陣を手薄にしておいて占領するか、敵を全部捕らえてしまうと勝ちとなるが、捕まって敵陣にいる者も味方の者がきてその身体に触れれば解除されて帰ることができる。また、2組に分かれ、総人員より少ない円陣を用意し、掛け声を合図にその陣地を奪い合い、円陣に走り込むことのできなかった子供の多い組を負けとする遊びもある。ほかに、陣取りというもう一つの遊びは、国取りともいわれている遊びで、地面を区分し、その中でおはじきをしながら自分の領地を広げていく遊びである。なお陣取りは、明治時代後半、日清(にっしん)・日露戦争以降に盛んになった遊びである。
[丸山久子]
…(8)どろじゅん(けいどろ)型 鬼が巡査(警察官),子が泥棒に扮しての追跡と逃避の遊びで,一般の鬼ごっこと基本的には同じである。(9)陣取り型 〈陣取り〉の項参照。(10)かくれんぼ型 単に逃げまわるだけでなく,適当な場所を見つけ,身を隠しながら鬼の追跡をのがれる。…
※「陣取り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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