陸心源(読み)りくしんげん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陸心源」の意味・わかりやすい解説

陸心源
りくしんげん
(1834―1894)

中国、清(しん)末の学者。字(あざな)は剛父(ごうほ)、号は存斎、潜園老人。帰安(浙江(せっこう)省呉興(ごこう)県)の人。1859年(咸豊9)の挙人、太平天国掃討に戦功あり、官は福建塩運使に至る。宋(そう)刊本100余種、元(げん)刊本400余種を皕宋(ひょくそう)楼に蔵し、清末四大蔵書家の一人。その蔵書は1907年(明治40)岩崎家に購入され、いま静嘉堂(せいかどう)文庫にある。顧炎武(こえんぶ)に私淑して名づけたその文集『儀顧堂集』をはじめ、『宋史翼』など史学、金石、書誌にわたるその著を集めた『潜園総集』、またその刊刻になる『十万巻楼叢書(そうしょ)』がある。

[近藤光男 2016年3月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「陸心源」の意味・わかりやすい解説

陸心源 (りくしんげん)
Lù Xīn yuán
生没年:1834-94

中国,清の蔵書家。字は剛甫,存斎と号した。晩年の号は潜園老人。浙江省呉興の人。咸豊9年(1859)の挙人。官は光緒中,福建塩運使になった。書庫を3ヵ所にもち,一つは〈皕(ひよく)宋楼〉で宋・元の版本および名ある人の手写本を収めた。皕宋は宋本を200部も蔵するという意味で,のち日本の静嘉堂に買い取られた。一つは守先閣で明・清のすぐれた刻本を,一つは〈十万巻楼〉で普通の本を収めている。《潜園総集》には《皕宋楼蔵書志》120巻,《儀顧堂題跋》16巻等を収める。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陸心源」の意味・わかりやすい解説

陸心源
りくしんげん
Lu Xin-yuan; Lu Hsin-yüan

[生]道光14(1834)
[没]光緒20(1894)
中国,清末の蔵書家。浙江省呉興県の人。字は剛父。号は存斎潜園老人。咸豊9 (1859) 年の挙人。地方官を歴任ののち郷里に隠退し,古今図書を収集校補した。その蔵書数は善本のみで 15万巻に上るが,のち日本の岩崎家に購入され,現在,東京世田谷の静嘉堂文庫に収められている。

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世界大百科事典(旧版)内の陸心源の言及

【静嘉堂文庫】より

…中村正直(敬宇)の漢籍など1562部1万3181冊,色川三中(みなか)(1802‐55)の国文学関係の和書1374部4939冊,竹添進一郎(光鴻)の漢籍515部7204冊,松井簡治の〈松井文庫〉(国語国文学関係の和書5902部1万7016冊),諸橋轍次の〈百国春秋楼書(ろうしよ)〉(春秋学関係書に特色のある漢籍174部1200冊)などがある。特筆すべきは1907年に巨費を投じて購入した,清末の四大蔵書家の一人陸心源(りくしんげん)の収蔵書である。すなわち宋元版を収めた〈皕宋楼(ひよくそうろう)〉,明・清の珍本を収めた〈十万巻楼(じゆうまんがんろう)〉などの漢籍4146部4万3893冊であり,世界的に著名である。…

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