挙人(読み)きょじん

日本大百科全書(ニッポニカ)「挙人」の解説

挙人
きょじん

旧中国において、各省で普通3年に一度行われる科挙の第一段階、郷試(きょうし)の合格が与えられる資格。西洋人は普通、マスターと訳すが、実際はもっと地位が高い。新挙人は、試験官とともに祝賀の宴を開くが、これを鹿鳴(ろくめい)宴という。首席を解元(かいげん)というのは解試第一番の意味で、(そう)代には郷試に相当するものを解試と称したからである。宋代では科挙の失敗者は毎回解試を受け直さなければならなかったが、明(みん)・清(しん)の挙人は固定した地位となり、何回でも次の会試に応ずることができ、また会試ののちに、落第者を集めて特別の試験を行い、成績上位の者を官に任ずる制度も行われた。

[宮崎市定]

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精選版 日本国語大辞典「挙人」の解説

きょ‐じん【挙人】

〘名〙
① 中国で官吏試験に応じる者。また、その合格者。漢代には地方長官、大臣から官吏に推挙された者、唐・宋では進士の試験を受ける者、明・清では地方試験である郷試に合格した者に与えられる称号。
※制度通(1724)六「及第をのぞむ者を挙子、挙人と云」 〔後漢書‐章帝紀〕

こ‐にん【挙人】

〘名〙 (「こ」「にん」は、それぞれ「挙」「人」の呉音) 令制で、大学寮で修学し、二経以上に通じ、式部省省試(官吏登用試験)を受験するよう推挙された学生(がくしょう)。合格すれば位階を授けられ出身する。きょじん。〔令義解(718)〕

こ‐じん【挙人】

〘名〙 (「こ」は「挙」の呉音) 令制で、大学寮から推薦された、式部省の官吏登用の受験有資格者。きょじん。

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旺文社世界史事典 三訂版「挙人」の解説

挙人
きょじん

科挙で最終段階の進士の試験の受験資格を有する者
清代には3年に1回各省で行われる郷試の合格者を挙人と呼び,会試に合格した進士に次いで重んじられた。挙人で終わったものは郷紳として地方の支配層になるか,高官秘書幕友)となり,政治手腕をふるったが多い。

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世界大百科事典内の挙人の言及

【科挙】より

…同考官がまず予選を行い,その推薦した硃巻を正,副考官が審査して最後的な決定を下し,姓名を現して発表する。合格率は100人に1人以下になることもまれでなく,合格者は挙人と称せられ,生涯の資格となる。 郷試の行われた翌年の3月,北京の貢院において全国の挙人の希望者を集めて会試を行うが,その直前に挙人覆試が課せられる。…

【郷紳】より

…これら読書人の中で,郷紳は,清代中期までは,衿士(きんし)あるいは士人(しじん)という雅称で呼ばれる生員とははっきり区別され,地方官の側から地方の世論の形成者,行政の実質的支持者として重視されてきた。省の科挙試験の合格者で任官資格をもつ挙人(きよじん)は両者の中間の位置にあったが,どちらかといえば郷紳に近い。 明代後半期以来,商品生産と貨幣経済発展は,農村内部に市場町としての鎮を発達させ,鎮をなかだちとして,県城(県都)を中心とする県も単なる行政区画にとどまらず,経済的・社会的に緊密な関係をもつ単位としての性格を帯びてきた。…

【中国】より

…官僚に準ずる身分であることが法的に保証され,みだりに逮捕されず,税制上の優遇その他の特権を受ける。(4)挙人・進士。生員はさらに試験によって挙人,ついには進士にまで進む。…

【明】より


[官僚の選抜]
 官僚の選任については,中央に国子監があって官僚養成機関とされたが,これが実質的機能を果たしたのは初期だけであって,やはり科挙に合格した進士が,高級官僚としては圧倒的な地位を占めた。科挙について前代と変わった点は,郷試の受験資格として府州県に置かれた儒学の生員たることが求められ,したがって事実上儒学の入学試験が科挙の第1段階となったことと,地方試験たる郷試の合格者に与えられる挙人が固定した資格となり,進士に合格するのを待たず,挙人の資格で官界に入る者が出てきたことである。官庁事務を実際に扱うのは,多数の胥吏(しより)であって,彼らは中央から任命される官僚とは,截然たる身分上の差があるが,下級の官僚にはその中から選抜された者が多かった。…

※「挙人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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