静嘉堂文庫(読み)セイカドウブンコ

デジタル大辞泉 「静嘉堂文庫」の意味・読み・例文・類語

せいかどう‐ぶんこ〔セイカダウ‐〕【静嘉堂文庫】

東京都世田谷区にある図書館岩崎弥之助小弥太父子2代の収集による蔵書からなる。中国、清末の蔵書家陸心源の旧蔵書の漢籍中心に、和書にも珍籍が多い。

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精選版 日本国語大辞典 「静嘉堂文庫」の意味・読み・例文・類語

せいかどう‐ぶんこセイカダウ‥【静嘉堂文庫】

  1. 東京都世田谷区岡本にある図書館。陸心源、中村敬宇竹添井々松井簡治大槻如電諸橋轍次らの旧蔵書、漢籍約一二万冊、和書約八万冊、美術品約五〇〇〇点(うち国宝五件)をもつ。岩崎彌之助(彌太郎の弟、号静嘉堂)・小彌太父子二代の収集による。昭和二三年(一九四八)国会図書館支部となったが、同四五年財団経営に復帰。

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改訂新版 世界大百科事典 「静嘉堂文庫」の意味・わかりやすい解説

静嘉堂文庫 (せいかどうぶんこ)

三菱の岩崎小弥太が設立し,現在は東京都世田谷区に所在する文庫で,和漢の貴重な典籍,絵画,彫刻,工芸品など多数収蔵する。父の弥之助の蔵書をもとに,初めは神田駿河台の岩崎邸の一角に開館し,重野安繹(しげのやすつぐ)に収集・管理を任せて和漢の書を集め,また1894年青木信寅の古写本を中心とする和書蔵書240部1033冊をはじめとして,一括購入も併せ行った。中村正直(敬宇)の漢籍など1562部1万3181冊,色川三中(みなか)(1802-55)の国文学関係の和書1374部4939冊,竹添進一郎(光鴻)の漢籍515部7204冊,松井簡治の〈松井文庫〉(国語国文学関係の和書5902部1万7016冊),諸橋轍次の〈百国春秋楼書(ろうしよ)〉(春秋学関係書に特色のある漢籍174部1200冊)などがある。特筆すべきは1907年に巨費を投じて購入した,清末の四大蔵書家の一人陸心源(りくしんげん)の収蔵書である。すなわち宋元版を収めた〈皕宋楼(ひよくそうろう)〉,明・清の珍本を収めた〈十万巻楼(じゆうまんがんろう)〉などの漢籍4146部4万3893冊であり,世界的に著名である。美術品には十二神将像,広目天眷属像,宗達筆《源氏物語屛風》,燿変天目茶碗など,国宝5件,重要文化財46件の指定品がある。21年に図書館組織に改組,25年に現在地に移転閲覧には紹介が必要である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「静嘉堂文庫」の意味・わかりやすい解説

静嘉堂文庫
せいかどうぶんこ

岩崎弥之助(やのすけ)(弥太郎(やたろう)の弟)、および嗣子(しし)小弥太(こやた)によって集められた和漢書約20万冊よりなる文庫。重野安繹(しげのやすつぐ)に集書と管理を委嘱し、1894年(明治27)ころより集書を開始、1940年(昭和15)財団法人静嘉堂に寄付、48年(昭和23)国立国会図書館の支部図書館となり、70年法人に戻る。国学者や漢学者などの旧蔵書が一括架蔵されており、国文方面では田中頼庸(よりつね)旧蔵書約4000冊、色川三中(いろかわみなか)旧蔵書約5000冊、松井簡治(かんじ)旧蔵書約1万7000冊、漢籍では中村敬宇(けいう)(正直(まさなお))旧蔵書約1万3000冊、竹添井井(たけぞえせいせい)(進一郎)旧蔵書約7000冊、清(しん)末の蔵書家陸心源(りくしんげん)旧蔵書約4万冊などを含む。なお、日本・中国の古美術品多数を所蔵展示。東京都世田谷(せたがや)区岡本に所在する。

[橋本政宣]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「静嘉堂文庫」の意味・わかりやすい解説

静嘉堂文庫
せいかどうぶんこ

岩崎財閥が東京都世田谷区に創設した和漢古書専門の図書館。明治の中期に岩崎弥之助が着手し,その遺志を受けて子の小弥太が 1924年に建設した。第2次世界大戦後は国立国会図書館の支部図書館として運営されていたが,70年また財団に復した。国書にも珍書が多いが,特に清末の大蔵書家陸心源の旧蔵書を中心とした漢籍は宋,元版の豊富なことで有名である。現在の蔵書数は約 20万冊。蔵書目録として,静嘉堂文庫漢籍分類目録と静嘉堂文庫国書分類目録とがある。また,俵屋宗達『源氏物語関屋・澪標図』など国宝7点を所蔵。

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百科事典マイペディア 「静嘉堂文庫」の意味・わかりやすい解説

静嘉堂文庫【せいかどうぶんこ】

岩崎小弥太の創立した文庫。1893年ころから公開。現在地は東京都世田谷区。和漢の古書約20万冊を所蔵,うち12万冊は漢籍で,なかでも清末の学者陸心源の旧蔵書約5万冊は著名。また,国宝,重文を含む多くの美術・工芸品を所蔵し,1992年より静嘉堂文庫美術館として公開している。
→関連項目宅磨栄賀

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世界大百科事典(旧版)内の静嘉堂文庫の言及

【コレクション】より

…尾形光琳《燕子花図(かきつばたず)屛風》,名物茶入〈松屋肩衝〉はじめ4000点に及ぶコレクションは,没後東京青山に設立された根津美術館に収蔵された。岩崎弥之助(1851‐1909),小弥太(1879‐1945)は三菱の2代,3代総帥であったが,東洋古陶磁,古画を中心に集め,国宝〈曜変天目茶碗〉や《源氏物語図屛風》(宗達筆)に代表される質の高いコレクションを築き,今日では東京世田谷の静嘉堂文庫に所蔵されている。このほか関西の実業家でも,大阪の藤田伝三郎(1841‐1912),平太郎による《紫式部日記絵巻》や〈曜変天目茶碗〉など古書画,茶道具を中心とする収集(現,藤田美術館),兵庫の酒造家,嘉納治兵衛(1862‐1951)による中国古銅器,古陶磁を主体とする収集(現,白鶴美術館)などが知られる。…

※「静嘉堂文庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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