デジタル大辞泉 「隠りくの」の意味・読み・例文・類語 こもりく‐の【▽隠りくの】 [枕]《「く」は所》大和の泊瀬はつせは山に囲まれた所の意から、「泊瀬」にかかる。「―泊瀬の川の上つ瀬に」〈万・三二六三〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「隠りくの」の意味・読み・例文・類語 こもりく‐の【隠の】 枕 ( 「く」は場所、所の意。両側から山が迫って、これに囲まれたような地形であるところから ) 地名「初瀬」にかかる。「はつ」に身が果つの意をふくませて、死者を葬る場所の意をこめている例もあるといわれる。[初出の実例]「許母理久能(コモリクノ) 泊瀬の山の 大峯(おほを)には 幡(はた)張り立て」(出典:古事記(712)下・歌謡)「隠口乃(こもりクノ) 泊瀬の山は 真木立つ 荒き山道(やまぢ)を」(出典:万葉集(8C後)一・四五)隠りくのの語誌「皇太神宮儀式帳」(八〇四)や「倭姫命世記」(一二七〇‐八五頃)には「許母理国志多備之国」と続いた例があり、「したびの国」に続く枕詞の例となっている。「したびの国」は黄泉(よみ)の国で、死者のおもむく所であるから、「こもる」には身を隠す意で死ぬ、葬るなどを暗示していると見ることが可能である。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例