改訂新版 世界大百科事典 「集中式プラン」の意味・わかりやすい解説
集中式プラン (しゅうちゅうしきプラン)
centered plan
一ヵ所に集合したような形で,点対称ないし1~数本の対称軸をもつ線対称の建築プラン。これは建物の中心部分についてであり,付属部分は非対称となることが多い。中心部分の建物の平面は円形,正方形,正多角形が基本となる。各種の屋内競技場,とくに大空間を必要とする展示館や工場などのほか,流体・液体の貯蔵庫や冷却塔などにも用いられる。
集中式プランの建物はきわめて古くから造られているが,その規則正しい形態のうちに超越性が認められて記念的な建築,とくに廟として広く用いられた。古代オリエントでは集中式プランの建物に,天国・神の国を象徴するドームやその代用としての円錐または角錐の屋根を組み合わせ,その超越性を強化したといわれる。ギリシア・ローマの例に円形神殿トロスがある。この伝統はローマを経由して後世に伝えられ,ビザンティン帝国のキリスト教教会堂(ハギア・ソフィア,オシオス・ルカス修道院など)とイスラム世界のモスク,廟にすぐれた作品を残し,西欧でも近世に若干の集中式教会堂(アンバリッドのドームなど)が作られた。
執筆者:飯田 喜四郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報