雲取越(読み)くもとりごえ

日本歴史地名大系 「雲取越」の解説

雲取越
くもとりごえ

大雲取山を越えて熊野本宮(現本宮町)那智を結ぶ、熊野街道中辺路の一部が通り、雲取越とよばれ、鎌倉時代初期頃には熊野参詣道となっていた。前記御幸記の同日条に「無松明待天明之間雨忽降、雖待晴間弥如注、仍営出一里許行、天明風雨之間路窄、不及取笠、着蓑笠輿中如海、如林宗、終日超嶮岨、心中如夢未遇如此事」とあり、風雨に悩まされながら雲取越する一行の様子を記す。

この雲取越の道は、近世には大雲取山を越える部分を大雲取おおぐもとり越といい、さらに北上して如法によほう山を越える辺りを小雲取こぐもとり越とよんでいる。寛政一年(一七九九)正月ここを越えた坂本天山は「紀南遊嚢」に「夫ヨリ大蜘蛛捕ト云五十町路、五里ノ嶮岨ヲ本宮ノ方へ逾ユル、此五里ノ間天然ノ石ニテ、磴道ヲ造リ、少シ坦ナル処ハ敷石ヲシテ深山ノ内ノ小径ヲ二百五十丁ノ間、石ノ上バカリヲ歩ムヤウニシタリ、元禄三年ヨリ宝永二年マデニ並ベ終リタル由、行人ノ所為ト云フ」と記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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