電子出版権(読み)でんししゅっぱんけん

百科事典マイペディアの解説

電子書籍の権利に関して,新たに出版社の権利を認めるための概念。現行の著作権法では電子書籍について出版社への権利付与の規定がない。このため海賊版の電子書籍が出回っても,電子化される以前の紙の本を出版した出版社には差し止め請求ができない。これに対して超党派国会議員,出版社,著作権団体関係者,著作権専門の法律家などから成る〈印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会〉(座長・中川正春衆院議員)が,2013年4月,出版社の権利として,現行著作権法における紙の本の出版と同様に,〈著作権者との契約に基づく専用権〉として,出版社に電子出版権を付与する提言をまとめた。文化庁はこれを受けて,著作権法改正の検討に入った。2014年4月出版社が作品を独占的に発行できる〈出版権〉を電子書籍にも拡大する著作権法改正案が参院本会議で可決成立した(2015年1月施行)。ただし,現行著作権法における出版権は設定出版権であって,本を編集した出版社の権利は,素材の集め方,その配列等に創作性がある編集著作物について編集著作権的な権利が認められているものの,それ以外は認められていない。このため,出版権を著作隣接権とするよう求める意見は出版社側に依然として存在する。
→関連項目電子出版

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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