電子用ガラス(読み)でんしようがらす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子用ガラス」の意味・わかりやすい解説

電子用ガラス
でんしようがらす

電子用に供するためにつくられた特殊ガラス。透明性、絶縁性、半導性、誘電率弾性率、加工性、安定性などに優れ応用が広い。薄板にして回路基板やコンデンサーに、低融ガラスはソルダーガラス(はんだガラス)やパッケージングガラスに、半導性を使ってイメージオルシコン(テレビ撮像管)のターゲットに、およびそれらに関連して二次電子放射用にも使われる。透明性に関しては導電被膜をつけた透明電極ガラスやファラデー回転ガラス、光通信用グラスファイバー、光集積回路用ガラスなどが用いられている。電子用でもっとも多く使われているのは、液晶用ディスプレー基板に用いられている透明導電膜をコートした無アルカリガラスである。また、コンピュータに搭載される磁気ディスク用ガラスには、高い平坦(へいたん)性と軽くて弾性率の高いアルミノリケートガラスが使われている。

 以上のほか、半導性ガラス導電率の温度依存性を利用して温度測定や回路の温度補償をするためのトランスデューサーガラス、集積回路用シリコン基板上に必要な絶縁性薄膜には化学蒸着で生成するシリカガラスが賞用されており、2010年ごろより、液晶を駆動する半導体として、スパッタ法(加速したイオンをターゲットに衝突させて原子分子を放出させることにより、基板上へ薄い膜を形成する方法)で作製されたIn2O3-Ga2O3-ZnO系ガラス状薄膜酸化物半導体が実用化され始めている。そのほか、電子用として細部で使われているガラスは多い。

[境野照雄・伊藤節郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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