改訂新版 世界大百科事典 「化学蒸着」の意味・わかりやすい解説
化学蒸着 (かがくじょうちゃく)
chemical vapor deposition
略称CVD。水溶液を使わないめっき法の一種で,気相物質間の化学反応で被処理材の表面に金属または化合物の皮膜を形成させる技術をいう。被処理材表面(基板)が反応に対してよい触媒活性を保つような条件になっていることが必要で,基板温度,送入ガス濃度,ガス組成,系内の圧力などが,生成する皮膜の性状に大きく影響する。タングステンW,モリブデンMoのような難蒸発性の金属や,アルミナAl2O3,炭化ケイ素SiCといった化合物など,蒸着可能な物質は多種多様である。基板を高温にする必要があるなどの点で被処理材の選択は限られるが,イオンプレーティングと並んで,高度な機能を要求される場合に多用される。
→拡散被覆
執筆者:増子 昇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報