イメージオルシコン(読み)いめーじおるしこん(英語表記)image orthicon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イメージオルシコン」の意味・わかりやすい解説

イメージオルシコン
いめーじおるしこん
image orthicon

テレビジョン撮像管一種。1946年アメリカのRCA社で開発されたもの。光電面、ターゲットガラス、ターゲットメッシュ、電子銃および電子増倍部などを内部に収めた電子管である。レンズを通して被写体の像を光電面上に結ばせると、その明暗に応じて光電面から光電子が放出され、これが加速されて、細かい網目でできているターゲットメッシュを通り抜けターゲットガラスに当たり、そこから二次電子を放出する。二次電子はターゲットメッシュにとらえられ、ターゲットガラスの表面に、元の光学像に対応した正の電荷分布が生ずる。一方、電子銃から発射された電子ビームによってターゲットガラスの裏面を走査して電気信号を映像信号に変換すると、像の明暗が変調された戻りビームが得られる。これをさらに電子増倍部で1000倍程度に増幅したのち、映像信号電流として外部に取り出す。

 イメージオルシコン以前の撮像管は感度が低く、日中野外に相当する明るさが必要であった。イメージオルシコンはほぼ肉眼に近い感度をもっていたため、種々の条件で撮影が可能となったうえ、明暗に対する階調、すなわちコントラストもよいので、テレビジョンの爆発的な発展を促した。しかし、高価なわりに寿命が短く、また雑音が目だち、同じものを長く映していると焼き付いてしまうなどの欠点をもっている。その後カラー化が進んだこともあって、より解像度の優れたプランビコンサチコンなどのビジコン系の撮像管の開発が進み、1960年代の後半からこれらの撮像管が使われるようになって、イメージオルシコンの時代は終わったといえる。

[金木利之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イメージオルシコン」の意味・わかりやすい解説

イメージオルシコン
image orthicon

テレビジョンの画像を得るために,光学像を電気的信号に変換する撮像管の一種。 1946年アメリカの電機メーカー RCAで開発された。アイコノスコープの約 100倍の感度をもち,テレビカメラにビジコンとともに標準的に使用されたが,いまでは CCD (電荷結合素子) に取って代わられた。被写体の像をレンズを通して光電面に結像すると,像の明暗に対応した光電子が放出され,電子レンズ系によって加速されてターゲットに衝突する。ターゲットは数μmの薄い半絶縁性ガラスでできている。ターゲットの前面には網の目状の銅箔からなるメッシュがあり,このターゲットメッシュは零電位でターゲットガラスから放出された二次電子を蓄積するが,ターゲットの二次電子放出比が1より大きいため,ターゲットには正の電荷が残る。この正の電荷は時間とともに薄いガラスを通して走査部前面に浸透する。これを電子ビームで走査すると,走査面は光像に対応した電位の変化が存在するため,ビームは変調されてもとの軌道を描いて戻ってくる。これを二次電子増倍器で増倍して出力として取り出す。基本的な動作原理は同じであるが,改良されたイメージオルシコンが種々開発され,高感度撮像管として実用化されていた。

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