日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気音響」の意味・わかりやすい解説
電気音響
でんきおんきょう
electroacoustics
音響工学の一部門。1876年アメリカのベルによる電話機の発明に始まり、ラジオ、ステレオ、テープレコーダー、デジタルオーディオディスクへと発展普及し、技術的にも体系が整えられてきた。電磁気による圧電現象や電気・磁気ひずみなどを利用して、音波または機械振動を電気振動に変えて電気信号として取り出し、またはその逆に電気信号による電気振動を音波や機械振動に変える。この電気と音響の相互変換によって、音響の問題を等価的な電気回路に置き換えて解析し、電気的に音響現象をシミュレートして実現する技術が主である。代表的なものとして、スピーカー(電音変換)、マイクロホン(音電変換)、ステレオ再生装置(立体音響再生)、テープレコーダー(記録・再生)、電話機、各種音響測定装置などがある。最近では騒音、振動などの公害測定や対策、超音波による計測・診断、電子楽器やシンセサイザーなど広い応用が実現されている。
[中田和男]