改訂新版 世界大百科事典 「青刈り」の意味・わかりやすい解説
青刈り (あおがり)
soiling
家畜の飼料とするために,作物を生育途中で刈り取ること,および刈り取った生の茎葉をいう。青刈りは新鮮な生の茎葉を家畜に与えるため家畜の食欲を増し,飼料の栄養成分やビタミン類の損失がなく,乾草やサイレージとする手間がかからない利点がある反面,必要量だけを毎日刈り取らなくてはならない欠点がある。
青刈りに用いる作物を青刈作物soiling cropと呼ぶ。一般には子実を採るために栽培する作物を,子実が熟す前にあるいは花の咲く前に青刈りして利用することが多い。たとえばオオムギ,コムギなどのムギ類,トウモロコシ,ヒエ,ダイズ,ソラマメ,エンドウ,ソバ,ヒマワリなどである。またイタリアンライグラス,オーチャードグラス,アルファルファ,アカクローバーなど,もともと草地の牧草として利用している植物を,特に青刈作物として畑で集約的に栽培することもある。この場合,草地として維持するよりも収量が増える。一般に開花盛期前後に青刈りすると,収量,栄養価ともに最も高いとされる。青刈りは普通1年に3~5回刈って利用するが,あまり回数を多くすると作物の利用年限が減り,収量も落ちやすい。牧草類の中には青刈りしてただちに家畜に与えると危険なものがあるので注意を要する。たとえばモロコシ属のスーダングラスなどの若い茎葉にはシアンが含まれ,生のまま多量に与えると中毒をおこす。これらは刈取り後数時間おくかサイレージや乾草とすればよい。またルピナス(ルーピン)のように有毒のアルカロイドを含むものは生草のまま大量に供餌することは避けねばならない。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報