ルピナス(読み)るぴなす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス
るぴなす
[学] Lupinus

マメ科(APG分類:マメ科)ルピナス属の総称。一、二年草および多年草和名は、花のつき方からノボリフジ(登藤)、また葉の形からハウチワマメ(葉団扇豆)という。各種とも長柄のある掌状複葉を根生し、花茎を抽薹(ちゅうだい)して総状花序をつくる。旗弁は立って両縁(へり)は反転し、翼弁は内に巻いて竜骨弁を包囲する。花色は黄、紫、青、白、桃紅、複色などである。北アメリカ、中南米、アフリカ、地中海沿岸に広く分布し、約300種知られる。飼料花壇、切り花に利用する。よく栽培されるものに次の各種がある。

 キバナルピナス(キバナハウチワマメL. luteus L.は南ヨーロッパ原産で、高さ40~50センチメートル、秋播(ま)きで、3~5月に黄色花を開く。切り花用としての栽培が多い。カサザキルピナスL. micranthus Guss.(L. hirsutus L.)も南ヨーロッパ原産で、高さ50~60センチメートル。秋播きで、4月ころ、青紫色または白色花を開く。ハートウェギー(ニシキハウチワマメ)L. hartwegii Lindl.はメキシコ原産で、高さ60~90センチメートル。秋播きで、5~6月に開花する。花色は青紫、白、桃、紅色などで、本属中もっとも美しい。近年よく栽培されるようになったラッセルルピナス(タヨウハウチワマメ)L. polyphyllus Russell hort.はポリフィルスをイギリスのラッセルが改良した品種群で、高性の多年草。黄、赤、青色花がある。

 栽培は、一、二年生種は秋播き、多年生種は春播きである。種子は大形で、直根性で移植を嫌うので、直(じか)播きして間引きするか、苗床に播き、本葉2枚くらいの小苗のうちに定植する。株間は一、二年草で10~15センチメートル、多年草で20~30センチメートル。あまり土質を選ばずによく生育するが、夏季に冷涼な地帯がよい。

[吉次千敏 2019年11月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルピナス」の意味・わかりやすい解説

ルピナス
Lupinus perennis; wild lupine

マメ科の多年草。本来は南北アメリカ大陸に原産するハウチワマメ属 Lupinus属名であるが,日本の園芸界ではこのうち観賞用に栽培する2~3種類を特にこの名で呼ぶことが多い。代表的なものは北アメリカ原産のハウチワマメ L. perennisでノボリフジともいう。茎は直立,分枝し,高さ 30~60cmあり,葉は8枚前後の小葉から成る掌状複葉で,小葉は長さ約 2.5cm,5~7cmの長い葉柄があり互生する。初夏の頃,茎頂に長さ約 25cmのまばらな総状花序を伸ばし,長さ 1cmあまりの蝶形花をつける。花色は普通青色であるがときに白色や淡紅色のこともある。莢は長さ 3cm内外で毛が密生する。

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