日本大百科全書(ニッポニカ) 「非金属鉱物」の意味・わかりやすい解説
非金属鉱物
ひきんぞくこうぶつ
non-metallic mineral
いわゆる重金属を主成分としない鉱物の総称であるが、俗称の意味合いが強い用語。概念的にいえば、金属光沢をもたず、比重の小さい鉱物をさす。学術的に厳密な定義をもつ用語ではない。これらの鉱物は一般にその鉱物自身の特性を生かして利用されることが多く、それに対して化学的処理を行って有用物質を抽出することは少ない。長石のように、化学的には金属元素を主成分として含んでいても、非金属鉱物という扱いを受けることもある。厳密に非金属元素の鉱物という意味で用いる際には「非金属元素鉱物」という表現を用いる。少数の例を除いて淡色で、バリウムを主成分とするもの以外は比重が4を超えることはまずない。具体的には、石英、長石、白雲母(うんも)、沸石、石綿、粘土鉱物など、なにか特定の用途のある鉱物に対して用いられる名称である。
[加藤 昭]