頓教(読み)トンギョウ

デジタル大辞泉 「頓教」の意味・読み・例文・類語

とん‐ぎょう〔‐ゲウ〕【頓教】

仏語。修行の階程を経ないで、直ちに成仏できると説く教え。また、最初からいきなり深遠な大乗理法を説く教え。→漸教ぜんきょう

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精選版 日本国語大辞典 「頓教」の意味・読み・例文・類語

とん‐ぎょう‥ゲウ【頓教】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。長い間修行を積まないで、すぐさま成仏できると説く教え。また、初めからいきなり深い道理を説く教えをさす。真言天台浄土などの宗で説き、浄土宗では、浄土教を頓教中の頓教であると説く。
    1. [初出の実例]「如華厳宗五教而摂一切仏教、所謂小乗教始教終教頓教円教是也」(出典選択本願念仏集(1198頃))
    2. [その他の文献]〔法華玄義釈籤‐二〕

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世界大百科事典(旧版)内の頓教の言及

【教相判釈】より

…ほかにも竺道生の教判を発達させた劉虬の七階の教判などもあった。 次にこのような南朝前半期仏教が北朝後半期仏教に輸入されて発達していくころに,智誕が南朝系教判の《法華経》までは漸教であって不了義(不完全な教義)であり最後の《大般涅槃経》だけが頓教であって了義であるという二教教判を提出したのではないかと考えられる。さらに北朝後半期仏教が慧光を初代僧統として展開して《十地経論》《華厳経》などの研究理解が深化したところで,声聞,独覚,菩薩乗が別教であり《法華経》が通教であり《涅槃経》《華厳経》《大集経》が通宗教であるが,《涅槃経》までは漸教であり《華厳経》こそが円頓教であるという教判などが成立した(敦煌写本,スタインNo.613参照)。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」