日本大百科全書(ニッポニカ) 「領家帯」の意味・わかりやすい解説
領家帯
りょうけたい
日本の地体構造区分上、西南日本内帯における区分名の一つ。中央構造線の北側に沿う、幅50~60キロメートルの地帯で、領家変成岩類および領家花崗(かこう)岩類が分布する。北側の美濃(みの)‐丹波(たんば)帯とは漸移する。「領家」は、静岡県西部、水窪(みさくぼ)川沿いの地名、奥領家に由来する。
領家変成岩類は、石英片岩、雲母(うんも)片岩、黒雲母片麻(へんま)岩などからなり、高温低圧型のものである。原岩はチャート、泥岩、砂岩泥岩互層、メランジュなど、美濃‐丹波帯のジュラ紀付加堆積(たいせき)物である。変成岩類は変成度の低いほうから、緑泥石帯、黒雲母帯、菫青(きんせい)石帯、珪線(けいせん)石帯に分けられる。領家花崗岩類は、変成岩の構造に調和的に入っているものと、非調和に貫入しているものがある。変成岩および花崗岩の放射年代は、6000万~9000万年前であり、かなりの部分が中生代白亜紀後期を示す。中央構造線に沿っては花崗岩などがマイロナイト化している。また、花崗岩類は、四国の讃岐(さぬき)山脈、近畿西部和泉(いずみ)山脈などで、最後期白亜紀の海成層である和泉層群によって不整合に覆われる。
[村田明広]