日本大百科全書(ニッポニカ) 「水窪」の意味・わかりやすい解説
水窪
みさくぼ
静岡県北西端、磐田郡(いわたぐん)にあった旧町名(水窪町(ちょう))。現在は浜松市天竜区の最北部を形成する地域。旧水窪町は、1925年(大正14)町制施行。2005年(平成17)周辺10市町村とともに浜松市と合併。地域は大部分が赤石山系の高峻(こうしゅん)な山岳群に囲まれ、ほとんどが山林。天竜川支流水窪川に沿って市街地が形成される。JR飯田(いいだ)線、国道152号が通じ、天竜・水窪ダム間にスーパー林道天竜線が整えられた。古くから遠州と信州を結ぶ信州街道(別称秋葉街道)の中継地として発達。遠州の塩、茶、魚などと信州の楮(こうぞ)、榑木(くれき)などが交易された。スギ・ヒノキの人工林、モミ・ツガなどの天然林も豊かで茶・シイタケ栽培が盛ん。天竜奥三河国定公園の一部で、山住神社、青崩(あおくずれ)峠、水窪ダム、山王峡などへの観光客が多い。西浦の田楽(にしうれのでんがく)は国指定重要無形民俗文化財。
[川崎文昭]
『『水窪町史』(1983・水窪町)』