頭蓋内出血(読み)とうがいないしゅっけつ(英語表記)intracranial hemorrhage

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

頭蓋内出血
とうがいないしゅっけつ
intracranial hemorrhage

頭蓋(とうがい)内にみられるすべての出血の総称であり、出血の部位により硬膜下出血、くも膜下出血、脳室内出血、脳実質内出血に分けられる。なお、医療現場では頭蓋を頭蓋(ずかい)とよぶこともある。頭蓋内では、塊状出血の形をとる場合は、頭蓋内血腫(けっしゅ)ともよばれ、血腫が物理的に周囲を圧迫すること(Mass effect)が、二次的な障害をおこす。
 硬膜下出血、くも膜下出血などは分娩(ぶんべん)損傷としておこり易い。[仁志田博司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

六訂版 家庭医学大全科の解説

頭蓋内出血
ずがいないしゅっけつ
Intracranial hemorrhage
(子どもの病気)

どんな病気か

 頭蓋骨の内部に出血が起こったものです。出血が起こった場所により、硬膜外(こうまくがい)出血、くも膜下(まくか)出血硬膜下(こうまくか)出血、脳室内(のうしつない)出血、上衣下(じょういか)出血、脳実質内(のうじっしつない)出血などに分けられます。ほとんどは出生直後から2~3日以内に起こります。

原因は何か

 赤ちゃんの脳は血流が豊富であり、血管も未熟です。また血液凝固機能も未熟なので成人に比べると出血が起こりやすいといえます。この傾向は、未熟な赤ちゃんほどより強くなります。このように、もともと出血を起こしやすい状態といえる赤ちゃんに分娩時の外傷、仮死(かし)、出生後の呼吸障害や循環障害などが加わることで出血が起こります。また、先天的に血液凝固機能の障害がある赤ちゃんでは、より出血が起こりやすくなります。

 脳内の成熟の度合いによって、出血部位は多少異なります。早産(そうざん)児では脳室内出血や上衣下出血が多く、正期産(せいきさん)児では硬膜外、硬膜下、脳実質の出血が比較的多くみられます。

症状の現れ方

 出血量が少ない場合は無症状のこともあります。出血量が多かったり、血腫によって脳が圧迫されたりすると、全身が蒼白になる、ぐったりして元気がない、呼吸が止まる、後ろに反り返る、泣き声が甲高い、ミルクを飲まない、吐く、目つきがおかしい、けいれんするなどの症状がみられます。

 また、とくに脳室内出血やくも膜下出血の場合、数日から数週間後に水頭症(すいとうしょう)を発症してくることがあります。その場合は、頭囲が標準を超えて大きくなる、ミルクを飲まない、吐く、呼吸が止まるなどの症状が徐々に現れてきます。

検査と診断

 頭部超音波検査は簡便な検査法ですが、出血の場所によっては診断できないことがあります。確定診断は頭部CT検査により行われます。

治療の方法

 どの場所の出血であっても、症状がなければ経過観察し、自然に吸収されるのを待ちます。症状を伴う場合、硬膜外出血、硬膜下出血と一部の脳実質内出血では血腫を取り除く手術が行われることがあります。脳室内出血、上衣下出血では手術は行わず、けいれんの治療、頭蓋内圧が上昇するのを防ぐ、呼吸循環の安定などの対症療法を行います。

 くも膜下出血も通常は予後がよいために、手術は行わずに対症療法を行います。出血後に水頭症が起こってきた場合は、シャント術などの脳外科的な治療が必要になることがあります。

予後について

 どの場所の出血でも、症状を伴わなければ後遺症の心配はほとんどありません。症状が強いほど後遺症を残しやすくなります。後遺症としては、脳性麻痺、知能障害、てんかんなどがありますが、その程度もさまざまです。

佐藤 尚

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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