頭蓋骨の内部に出血が起こったものです。出血が起こった場所により、
赤ちゃんの脳は血流が豊富であり、血管も未熟です。また血液凝固機能も未熟なので成人に比べると出血が起こりやすいといえます。この傾向は、未熟な赤ちゃんほどより強くなります。このように、もともと出血を起こしやすい状態といえる赤ちゃんに分娩時の外傷、
脳内の成熟の度合いによって、出血部位は多少異なります。
出血量が少ない場合は無症状のこともあります。出血量が多かったり、血腫によって脳が圧迫されたりすると、全身が蒼白になる、ぐったりして元気がない、呼吸が止まる、後ろに反り返る、泣き声が甲高い、ミルクを飲まない、吐く、目つきがおかしい、けいれんするなどの症状がみられます。
また、とくに脳室内出血やくも膜下出血の場合、数日から数週間後に
頭部超音波検査は簡便な検査法ですが、出血の場所によっては診断できないことがあります。確定診断は頭部CT検査により行われます。
どの場所の出血であっても、症状がなければ経過観察し、自然に吸収されるのを待ちます。症状を伴う場合、硬膜外出血、硬膜下出血と一部の脳実質内出血では血腫を取り除く手術が行われることがあります。脳室内出血、上衣下出血では手術は行わず、けいれんの治療、頭蓋内圧が上昇するのを防ぐ、呼吸循環の安定などの対症療法を行います。
くも膜下出血も通常は予後がよいために、手術は行わずに対症療法を行います。出血後に水頭症が起こってきた場合は、シャント術などの脳外科的な治療が必要になることがあります。
どの場所の出血でも、症状を伴わなければ後遺症の心配はほとんどありません。症状が強いほど後遺症を残しやすくなります。後遺症としては、脳性麻痺、知能障害、てんかんなどがありますが、その程度もさまざまです。
佐藤 尚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
頭蓋(とうがい)内にみられるすべての出血の総称であり、出血の部位により硬膜下出血、くも膜下出血、脳室内出血、脳実質内出血に分けられる。なお、医療現場では頭蓋を頭蓋(ずかい)とよぶこともある。頭蓋内では、塊状出血の形をとる場合は、頭蓋内血腫(けっしゅ)ともよばれ、血腫が物理的に周囲を圧迫すること(Mass effect)が、二次的な障害をおこす。
硬膜下出血、くも膜下出血などは分娩(ぶんべん)損傷としておこり易い。
[仁志田博司]
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新